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ザイリンクス、28nm世代FPGAの低コスト・低電力ファミリの出荷を開始プログラマブルロジック FPGA(1/2 ページ)

28nm世代の半導体プロセス技術で製造する最新FPGA「Xilinx 7シリーズ」のうち、既に量産出荷やサンプル出荷を始めていたハイエンド品「Virtex-7」とミドルレンジ品「Kintex-7」に続いて、このほど低コストと低消費電力を特徴とする「Artix-7」のサンプル出荷を開始した。

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 FPGA大手ベンダーのXilinx(ザイリンクス)は、28nm世代の半導体プロセス技術で製造する最新FPGA「Xilinx 7シリーズ」のうち、コストと消費電力を特に低く抑えた製品ファミリ「Artix-7」のサンプル出荷を開始した。量産品の品質評価は2013年第1四半期を予定しているという。2012年7月17日(米国時間)に発表した。

 同社は既に、Xilinx 7シリーズの最上位ファミリ「Virtex-7」と、価格対性能比で最適化したファミリ「Kintex-7」の量産出荷やサンプル出荷を始めており、今回で同シリーズにラインアップした3つのファミリ全ての出荷が始まったことになる。

 Artix-7では、ロジックセルの集積規模が約10万個の「Artix-7 A100T」と約20万個の「Artix-7 A200T」、36万個の「Artix-7 A350T」を用意しており、今回サンプル出荷を始めたのは10万個規模品である。日本法人のザイリンクスは、7月18日に東京都内で開催した記者発表会で、「40nm世代よりも以前のプロセス技術を適用した従来シリーズであれば最上位ファミリのVirtexを使う必要があった用途でも、これらArtix-7で対応できるようになる」と説明した。

図1
Artix-7でザイリンクスが想定する主な用途である。出典:ザイリンクス (クリックで画像を拡大)

 Artix-7で狙う具体的なアプリケーションとしては、超音波診断装置をはじめとする医療分野のポータブル機器や、携帯電話の小規模基地局、警察・消防や軍事用の携帯型無線機などを挙げている。例えば、ポータブル型の超音波診断装置に適用すれば、45nm世代の低コストファミリ「Spartan-6」を使うと3個のFPGAが必要だった機能をArtix-7なら最大規模品1個で実現できる上、画像処理演算の性能を50%高めつつ、コストを50%、消費電力を45%と大幅に低減することが可能だという。さらに消費電力については、競合ベンダーであるAltera(アルテラ)が供給する28nm世代FPGAの相当品に比べて、75%程度で済むと主張する。

図2
Artix-7をポータブル超音波装置の128チャネル受信モジュールに適用する例。45nm世代の低コスト品「Spartan-6」では3個のFPGAが必要だったが、Artex-7では36万個のロジックセルを集積する「Artix-7 A350T」が1個で済む。さらに、性能が50%増加し、最大1306GMACの画像処理性能が得られる。出典:ザイリンクス (クリックで画像を拡大)
図3
Artix-7と競合他社のアルテラが提供する28nm品の消費電力を比較した。ポータブル超音波装置の128チャネル受信モジュールに適用した場合の事例である。ザイリンクスは、アルテラの製品の方が消費電力が33%大きい(Artix-7はAltera製品の約75%で済む)と主張している。なおこの比較は実測値に基づく結果ではなく、両社がそれぞれユーザーに無償提供するFPGAの消費電力見積もりツールを利用したもの。具体的には、ザイリンクスの「Xilinx XPower Estimator(バージョンは14.1)」と、アルテラの「Early Power Estimator(バージョンは12.0 B20)」を使った。また、この比較でザイリンクスが対象としたのは、同社が低消費電力グレードとして選別してユーザーに供給する「-2LE」と呼ぶ品種である。一方でアルテラの対象品としては、「I(インダストリアル)グレード」を用いている。ザイリンクスのこのような消費電力ベンチマーク手法の詳細については、こちらの記事(Xilinxが28nm FPGAの消費電力ベンチマークを公表、「競合より50%以上も低電力」と主張)を参照されたい。出典:ザイリンクス (クリックで画像を拡大)

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