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若きエンジニアへのエール〜他人に伝わる「言葉」を持とう〜エンジニアのための市場調査入門 ―番外編―(1/3 ページ)

「理系」の若いエンジニアの方々には「他人に通用する言語を持つように」とアドバイスしたい。「他人に通用する」とは、「専門用語を駆使しないで話し相手に理解される」ということだ。

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「エンジニアのための市場調査入門」連載一覧

 「エンジニアのための市場調査入門」の最終回の原稿を提出後、EE Times Japanの編集担当者からメールで校正原稿が返ってきた。メールの文面には原稿内容確認のお願いとともに、「番外編としてもう1回だけコラムを書いてもらえないか」と書かれていた。「若きエンジニアにエールを送りたいという趣旨である」とのことであった。

 私はOKだと即答した。即答したのだが、それから3カ月も経ってしまった。私は基本的にエンジニアという職種とそれに類する人種を尊敬しているので、というかある種のコンプレックスすら持っているので、エールを送るようなことはおこがましいのではと考え、何を書いたらよいものかと悩んでしまったのである。それでもこうしてPCを前にキーボードを叩き始めた。書いているうちに何か出てくるだろうと。

難しいことをやさしく、分かりやすく

図
写真はイメージです

 私は、矢野経済研究所が発行してきたこれまでの市場調査リポートの作成において、さまざまな人を取材してきた。経営者や企画、営業、生産、開発、研究の担当者など。これらのうち、エンジニアと呼ばれる職種は、生産、開発、研究の関係者であろう。ここで気付くのは、これらに携わっている方々は主に理系出身であることが多いということである。

 「文系」、「理系」、「体育会系」といった学生時代の専攻や所属組織でその人の人格を象徴するような表現がしばしば使われるが、「理系」のイメージは暗い、オタク、根に持つといったネガティブな要素が強いように思われる。まあ、「文系」も「体育会系」も笑いネタとしては、それぞれにネガティブな面が強調されるのではあるが……。

 なぜそう見られるかというと、こういう人たちは自分自身がハマリ、愛し、突き詰めてきた分野について、その分野の「シロウト」と語れるベーシックな言語を忘れてしまっているためではないかと推察する。だからシロウトは、その分野のことを聞いても何を話しているのか、全く理解できない。一方で、「理系人」は一般常識や社会通念みたいなものに関しては、思考範囲もさほど広くない場合が多いので、話の内容を相手が理解しているかどうか、気にも掛けようとしない。一生懸命に話をするにもかかわらず相手に理解されないので、余計にクローズドな世界に閉じこもっていく。しかし、「理系人」は教えたがり屋で、教え魔でもある。だから、共通言語を持つ者同士であれば、異常な盛り上がりを見せたりする。まさに“オタク”の世界なのである。

 ここまでの文章は私個人の決め付け、偏見で固まっているかもしれないが、そう思ったアナタ、近くにいる女性に「理系」のイメージを聞いてみてください。たぶん、私の決め付け、偏見はそんなにハズレていないはずです。

 なので、そんな「理系」の若いエンジニアの方々には「他人に通用する言語を持つように」とアドバイスしたい。「他人に通用する」とは、「専門用語を駆使しないで話し相手に理解される」ということだ。難しいことをやさしく話したり書けたりする人こそ賢い、などと世間一般でも言われているではないか。

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