“できるエンジニア”は、こう行動する〜今日から始めたい10のルール〜:いまどきエンジニアの育て方(8)(2/3 ページ)
“できるエンジニア”と言われる人たちの行動には、昔も今も、ある共通点がありました。今回は、その10個の共通点をご紹介します。
これが“できるエンジニア”の行動特性だ
冒頭で述べた通り、“20年前のできるエンジニア”と“今のできるエンジニア”は、世代は違えど、似たような行動をとっているようです。具体的には、以下の10項目です。
(1)考え抜く
(2)記録を取る
(3)情報を発信する
(4)自分自身を客観的に見る
(5)“know who”を大事にする
(6)ボーダーレスなコミュニケーションをとる
(7)軸がぶれない
(8)ユーザー視点を忘れない
(9)困難を楽しみながら、周りを巻き込む
(10)教え上手
順を追って見ていきましょう。
(1)考え抜く
「設計した通りに動作しない」など、自分が考えていた通りにいかない場合、原因が何なのか、他にうまいやり方がないのかを、徹底的に考えます。なかなかあきらめません。周りの人間が声をかけるのをためらうほど熟考することも、しばしばです。
とことん考え抜いて解決したものは、自分自身の血肉となり、めったなことでは忘れません。また、考えて悩んだ末に生まれる解決策は、特許などの知的財産に結び付く可能性もあります。結果的に、特許や実用新案の発明件数も多くなります。
(2)記録を取る
単に文章をそのまま書くのではなく、考えながらメモを取ります。図を多用する人もいます。基本的に、記録をまめに残す人は、後でそれらの記録を振り返る習慣を持っています。
記録された物が、見事に整理されているのも特長です。
(3)情報を発信する
どちらかというと、開発現場よりもR&D(研究開発)部門でごく当たり前に行われていることかもしれませんが、学会で研究成果や開発結果を発表する、専門誌に論文を寄稿するなど、とにかく積極的に情報を発信します。社内向けに、技術報告書や技術リポート、知的財産に関する情報などを発表することもあります。ここ10年ほどはブログで情報を発信するエンジニアも目立ちますが、その多くはソフトウェアのエンジニアです。ハードウェアのエンジニアが、ブログを情報発信のツールとして活用することは、あまりないようです。
(4)自分自身を客観的に見る
うまくいかない時は、人のせいにする前に、まず目の前の事実を受け止め、自分自身の作業を疑うことから始めます。「おかしいなあ、こんなはずじゃないんだけど……」と、保存しておいた設計時の記録を引っ張り出し、目の前の事実と突き合わせて検証します。
自分自身を客観的に見ることは、なかなかできないものです。“できるエンジニア”は、常に一歩下がったところから客観的に物事を考え、何が問題なのか、なぜ問題なのかということを冷静に見極めることができます。
(5)“know who”を大事にする
専門知識を豊富に持つ、社内のキーマンをよく知っています(自分自身も他部門から見れば、キーマンです)。「この件だったら、この人に聞けばよい」ということを把握しており、“know how(ノウハウ)”よりも“know who(ノウフー)”を大事にします。
(6)ボーダーレスなコミュニケーションを取る
“know who”で動くので、基本的にフットワークが軽く、あちこちに出向きます。これは、社内外を問いません。部門や自社という枠組みにとどまらず、ボーダーレスなコミュニケーションを取ります。
(7)軸がぶれない
言動に一貫性があります。製品コンセプトや基本仕様を決めるときにも、とことんこだわる。これは、頑固というわけではありません。自分だけでなく、チームメンバーが行き詰まった時も、「元々はこうだったよね!」と、その都度、軌道修正をするので、周りからの信頼も厚いのです。
(8)ユーザー視点を忘れない
若手エンジニアは、どうしてもエンドユーザーの存在を忘れて目の前の開発に没頭しがちです。一方、“できるエンジニア”は、ユーザーがどういう使い方をするかなど、サービスや製品を提供する側としての視点を忘れません。
したがって、周囲が「仕様上は問題ないよ!」と言っても、「ちょっと待って、それで操作性が損なわれない?」などと、その場で提案することができるのです。
(9)困難を楽しみながら、周りを巻き込む
困難な状況でも、「こうしたらどうだろう?」、「このトラブルを解決できたら“特許もん”かもしれないな」などと、自分自身がその困難な状況を楽しんでしまうところがあります。その様子を見ている周囲も、ついペースに乗せられて、“3人寄れば文殊の知恵”状態を、自然発生的に作り出します。その結果、トラブルを見事に乗り切り、自分の血肉にするのです。
(10)教え上手
指導するときは単なる“how to”ではなく、基本的な原理原則や考え方を教えます。答えは言わずに、解決の糸口となる要素をさりげなく示します。
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