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“革新者”は誰なのか、Apple対Samsungの特許訴訟で議論白熱ビジネスニュース

AppleとSamsungの特許訴訟の審理が、2012年7月31日から始まっている。この訴訟では、「“ベンチマークにすること”と“コピーすること”の境界線は何なのか」などが論点として提起されており、判決には注目が集まりそうだ。

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 Apple対Samsungの特許訴訟が、米国カリフォルニア州サンノゼ連邦地裁で審理に入った。既に2つの重要な問題点が提起されている。「競合製品を積極的に基準(ベンチマーク)にすることと、積極的にコピーすることの境界線は何か?」と「発展途上の規格に関連した特許の出願と、意図的なサブマリン特許との境界線は何か?」である。

 冒頭陳述で、Apple側の弁護団は100ページ以上にわたるSamsungに関する詳細なリポートを発表した。弁護団はリポートの各ページで、Samsungの既存の携帯電話機とAppleの「iPhone」を機能ごとに比較し、SamsungがiPhoneの技術を用いたことを示唆している。

 Appleの弁護団長を務めるHarold McElhinny氏は、「我々の示す証拠により、SamsungがAppleの知的財産を盗んだことが明らかになるだろう」と述べた。

 McElhinny氏は、「Samsungは、『iPhoneの技術をコピーしたのではなく、単にベンチマークとしただけだ。エレクトロニクス業界ではごく当たり前のことだし、Appleも何かをベンチマークに用いることはあるはずだ』と主張するだろう。だが、Samsungが言う“ベンチマーク”には特別な意味もあるようだ」と述べた。さらに、「Samsungは、Appleの特許を侵害した携帯電話機やタブレット端末を、米国で2200万台以上も売り上げた。SamsungはAppleの利益を取り上げてきたのであり、今後もAppleの知的財産を用いることで、20億米ドル以上の収益を手にすることになる」と付け加えた。

 Appleは、賠償金としてSamsung側に25億米ドルを求める方針だ。この額は、特許侵害裁判における新たな指標になるといわれている。Appleの弁護団は、Samsungが、iPhoneや「iPad」をほうふつとさせるルック&フィールを自社製品に用いており、Appleの実用特許ならびに意匠特許を侵害していると主張している。

 一方のSamsungは、AppleがSamsungのスマートフォン「Galaxy S」とタブレット端末「GALAXY Tab」の詳しい分解調査を行っていた点を示した。さらに、Appleの主要な設計者であるJonathan Ive氏に宛てた電子メールを示した。そのメールには、「このままiPhoneが発売されたら、iPhoneはSonyの携帯電話機のルック&フィールに似ていると思われるかもしれない。そうなる前に、iPhoneのデザインを変えるべきだ」という提案が含まれていた。

 Samsung側の弁護士は、「誰もが、競合製品から着想を得たり、競合製品より優れた製品を開発しようとしたりしている。そうした行為は競合製品のコピーには当たらない」と主張した。

 iPhoneやiPadに外観が似ていても、iPhone/iPadより前に発売された製品はある。Samsungは、それらの製品を同社の主張を裏付ける証拠として示した。

 Samsung側の弁護士は、「メーカーは、販売した製品が人気になったとしても、それに追随しようとする他のメーカーを排除していいわけではない」と述べ、「Appleは長方形のフォームファクタや大型のタッチスクリーンを開発していない」と付け加えた。

 Samsung側の弁護士は、iPadとiPadの部品表のうち26%がSamusungの部品で占められていると主張した。そうした部品には、Samsungが独占的に製造しているディスプレイ「Retina」も含まれている。Appleは、このディスプレイを積極的に売り込んでいる。弁護士は、「革新者(イノベーター)は一体誰なのか?」と問いかけた。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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