中国のスマホ市場、国内メーカーの急成長でAppleは失速:ビジネスニュース
中国のスマートフォン市場では、中国国内のメーカーが急激にシェアを伸ばしている。出荷数でトップの座に立ったのはSamsungだが、シェアだけを見れば縮小している。また、Appleは中国国内メーカーの台頭で第5位に下がった。
最近では、「今や中国の携帯電話機は、機能的にも決して他国の製品に見劣りしない」とよく耳にするようになった。しかしこれに対して、「データで証明してほしい」と考えるのが普通ではないだろうか。
そこで、米国の市場調査会社であるCanalys Researchが2012年7月に発表したリポートを以下に取り上げてみよう。
同社は、2012年第2四半期におけるスマートフォン出荷台数について、国別の予測データを発表した。これによると、海外から中国に向けて出荷されたスマートフォンと、中国国内で出荷されたスマートフォンの合計台数は、4200万台を上回る見込みだという。これは、一国の市場規模として、2期連続で記録的な出荷台数となる。
中国の携帯電話機市場が驚異的な成長を遂げているということは、スマートフォンに対する需要も高まっていることになる。Canalys Researchによると、世界全体のスマートフォン出荷台数は1億5800万台に上り、そのうち米国市場が占める割合が16%であるのに対し、中国市場は27%に達するという。
中国市場におけるスマートフォンへの需要は、何によってけん引されているのだろうか。
中国市場において第1位の座を獲得したスマートフォンメーカーは、韓国の巨人Samsung Electronicsだ。Canalys Researchによると、Samsungは中国市場全体の17%のシェアを確保し、トップの座を維持しているという。
ただし、ここで注目すべきは、2012年第2四半期の中国市場において、Samsungの出荷台数は横ばい状態だったことである。つまり、同社のシェア自体は縮小していると考えられる。その一方で、数社の中国メーカーがSamsungとの差を縮めているという。
リポートによると、中国市場では、中国の携帯電話機メーカーであるZTEとLenovo、Huaweiが、それぞれ第2位と第3位、第4位を獲得しており、Appleを第5位に追いやった。ZTEとLenovo、Huaweiの3社で、市場全体の3分の1を占めている。
これら3社の成長率は、ZTEが前年比171%増、Lenovoが同2665%増、Huaweiが同252%増だ。中国メーカーの出荷台数は合計2560万台で、中国市場の60%を占める。一方、海外メーカーの出荷台数は、前年比67%増となる1670万台にとどまり、中国メーカーと比べると比較的緩やかな伸びとなった。
Appleは、今や中国市場では第5位に下がってしまった。2012年第2四半期における同社の出荷台数は、前年同期比では102%増加したものの、前期比では37%減となっている。
Canalys Researchのアナリストによると、「中国のティア2(第2階層)の携帯電話機メーカーであるOPPOやK-Touch、Gioneeなどは、自社のポートフォリオや顧客基盤をスマートフォンに特化させるべく移行を進めており、著しい進歩を遂げている」という。
中国市場において、NokiaやMotorolaはいったいどこに行ってしまったのだろうか。リポートによると、両社とも中国市場で大きく失速し、特にNokiaは、2011年第2四半期の出荷数量に比べて47%も減少したという。
Canalys Researchによると、「中国市場で優れた業績を実現することができた海外メーカーは唯一、台湾のHTCだけだ」という。HTCの出荷数量は、2011年第2四半期比で389%増となる180万台に達したという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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