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―実践編(パラダイムシフト)―入出力装置という「機械的な私」の作り方「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(7)(1/3 ページ)

私たちが到達すべき「To be像」は明確です。私たちは、技術英語というプログラミング言語をコンパイル(翻訳)する、1つの「電子計算機」になるのです。ここで最も大切なことは、1つの機械となった私たちは、理解できない技術英語に対して「Syntax Error(シンタックスエラー)」と応答しても良い、ということなのです。

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 われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうか?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論連載一覧

前編はこちら―実践編(パラダイムシフト)――技術英語はプログラミング言語である

 実践編(パラダイムシフト)の後編は、「英語に愛されないエンジニア」である私たちが、どのように自分を改造すべきか、についてお話します。「今からでも、英語に愛されるように、英語の勉強を頑張る」という方。ここでお別れですね。心から、英語と「両思い」になれることを祈っています。難しいとは思いますが。

 では、残っていただいた皆さん。そろそろ始めましょうか。私が連載第1回で申し上げた通り、「英会話をする、すてきな私」という思い込みを捨て、「入出力装置という、機械的な私」という新しいパラダイムシフトに到達していただきます。

 前回から申し上げている通り、私たちが扱うのは「技術英語」という名のプログラミング言語で、プログラムとは「電子計算機に対する指令であって、一の結果*1)を得ることができるように組み合わされたもの(特許法第2条4項)」をいいます。それならば、私たちが到達すべき「To be像」は明確です。私たちは、技術英語というプログラミング言語をコンパイル(翻訳)する、1つの「電子計算機」になるのです。

 「技術英語」という名のプログラミング言語において、英文フレーズは単なるプログラムリストであり、技術英単語は予約語です。当然、プログラム言語である以上、それは英文法とは異なる概念の、シンタックスが存在します。そして、最も大切なことは、1つの機械となった私たちは、理解できない技術英語に対して「Syntax Error(シンタックスエラー)」と応答しても良い、ということなのです。

*1)「一の結果」は、特許法からの直接引用なので、そのまま記載しました。ここで、一の結果とは、「プログラムが出力することを予定している結果」という意味です。

理解できない技術英語には「Syntax Error」を返そう

図
写真はイメージです

 皆さんのPCで、Windowsのコマンドプロンプトの画面から、以下の文字を入力をしてみてください。

C:\Documents and Settings\ebata>こんにちは

 これに対してPCは、何と応答していますか。

'こんにちは' は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。

 PCは、畏れ多くも、そのオーナーに対して、「あんたの言っている言葉は認識できない」と言い放っているわけです。人間様が格下のPCに、わざわざ頭を下げてあいさつしているのにも関わらず、です。せめて、

'こんにちは' を認識できません。'こんにちは'を定義するために幾つかの質問をいたします。お手数ですが、それらにご回答ください。

と、この程度の応答をしてもよいとは思いませんか。礼儀という観念を知らないで入社してきた新人社員だって、ここまでひどくありません。こんな生意気な機械は、配線をぶっちぎって、窓から放り捨てればよかったのです(現実に、そういうことをする人が世界に毎年何人もいるそうです)。

 私たちにその勇気があれば、この機械との間で主従逆転のような日々を送らずに済んだのですが、残念ながらもう手遅れです。私たちがここまでPC(電子計算機)を甘やかしてきた結果、電子計算機は社会インフラの中心に鎮座(ちんざ)し、もはや欠くことのできない、社会のシステム構成要素となってしまったからです。

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