Intelは「Ultrabook」に引き続き注力、UI開発コンテストでは賞金100万ドルを用意:ビジネスニュース 企業動向
米国で開発者向けのフォーラムを開催中のIntel。市場で成功しているとは決して言えない「Ultrabook」だが、同社は引き続きUltrabookの開発と普及に注力していくという。また、Ultrabook向けユーザーインタフェース(UI)のコンテストも行う予定で、優勝者には100万米ドルの賞金が与えられる。
2012年9月11日〜13日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されている開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF) 2012」。開催初日の内容は、主に、Intelが提唱する超薄型ノートPC「Ultrabook」に関するものだった。
Ultrabookは現時点ではまだ、市場で大きな成功を収めたとは言えない。Intelはこの日、Ultrabookの音声認識機能とオンライン決済機能のデモを披露した。同社は、Appleの音声アシスタント機能「Siri」やGoogleのモバイル決済サービス「Google Wallet」に追い付き、追い越すことを目指して、音声認識技術を手掛けるNuance Communications、クレジットカード会社のMastercardと協力して、これらの技術の開発に取り組んできた。また、Intelは、Ultrabookのユーザーインタフェース(UI)開発コンテストを開催することを発表した。同コンテストでは、これまでにない新しいユーザーインタフェースを募集し、優勝者には100万米ドルの賞金が授与される。
Intelは2012年9月、同年第2四半期の業績予測について、約10億米ドルの下方修正を行ったばかりだ。これを受け、あるアナリストは、IDF 2012の基調講演のあとに行われた質疑応答の席で、「Ultrabookは、Intelが期待したようなヒット商品になり得るのか」という質問を投げかけた。Intelのアーキテクチャグループでジェネラルマネジャーを務めるDadi Perlmutter氏は、この質問に対し「当社は、Ultrabookに対する取り組みを緩めてはいない。Ultrabookの推進と、Ultrabookをより革新的な製品に育てることにまい進している」と答えた。
IDF 2012では、新プロセッサの他、新しいユーザーインタフェースとフォームファクタも披露された。Perlmutter氏は、「Ultrabookはフォームファクタを一新し、当社のヒット商品としてさらに前進すると期待している」と話している。
Perlmutter氏は、基調講演の中で、AsusTekやCompal、ソニー製のUltrabookを披露した。これらの製品は、ディスプレイを反転したり、スライドしたり、取り外したりすることで、タブレット端末のように使うこともできる。
Intelは、Ultrabookに対する関心を集めるために、同社の新しい知覚情報システム開発キットを使って開発したユーザーインタフェースのコンテストを開催すると発表した。優勝者には100万米ドルの賞金が授与される。
Intelは現在、ユーザーインタフェースの開発努力の一環として、x86プロセッサを搭載したUltrabookにNuanceの音声認識ソフトウェア「Dragon」を最適化する取り組みを進めている。同ソフトは、2013年第1四半期に出荷を開始する予定だという。Perlmutter氏は、「現段階では詳細を発表できないが、Nuanceと協力しながら、音声認識技術の開発に取り組んでいる」と述べた。
同氏はこの他、NFC(Near Field Communication)に対応し、Intelの新しいセキュリティ技術を搭載したUltrabookで、多要素認証のデモを披露した。同システムは、NFCを使って、Mastercardの非接触型IC電子マネー「PayPass」によるオンライン決済を行い、商品を購入するプロセスを自動化したものである。
さらに、Perlmutter氏は、Intelの次世代CPUコア「Haswell」の試作品も披露した。Haswellは、同社が初めて22nmプロセス技術を適用したプロセッサで、「Sandy Bridge」の2倍のグラフィックス性能を有しながら、消費電力は半分に抑えたという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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