Intelの自信、「20nm以降でARMとの差はさらに広がる」:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
20nm世代のプロセス技術の開発においてTSMCやGLOBALFOUNDRIESと提携することを発表したARMだが、20nm世代以降のプロセス技術については、Intelが一歩先を行っているようだ。
ARMは2012年7月に、20nm以降のFinFETプロセス技術についてTSMCと提携することを発表した。さらに、2012年8月には、20nm世代のFinFETプロセス技術をGLOBALFOUNDRIESと共同開発することで合意したと発表している(関連ニュース)。こうした背景から、現時点では、低消費電力のプロセス技術の開発においてARMが優位に立っているようにみえる。だが、Intelは、現在のペースでプロセス技術の開発を進めていけば、リードを奪えると確信しているようだ。
EE Timesは、Intelのエグゼクティブバイスプレジデントで、アーキテクチャ部門の長を務めるDavid Perlmutter氏に話を聞いた。Intelは、20nm以降の世代や14nmのプロセス技術の開発を推し進めているという。一方、ARMのエコシステムは、22nm世代以降のビジネスモデルの構築に難航している。
ARM陣営から20nm世代以降の省電力プロセス技術が発表されれば、Intelと、ARMやARMのモバイルパートナーとの間で戦いの幕が切って落とされる。Intelはその時に備え、20nm世代以降のプロセス技術の開発を着々と進めながら、機が熟するのを待っているようだ。
実際に、Intelは「7nmプロセス技術までを見据えた戦略を用意しており、2013年以降はCPUをSoC(System on Chip)の形で提供する」という。具体的には、「Haswell」をタブレット端末やUltrabook向け22nmSoCとして、「Merrifield」をタブレット端末やスマートフォン向けSoCとして投入する計画だしている。
その後に続く14nmプロセス技術は、Intelのキラーノードになると予想される。Intelは電力効率を大幅に改善し、ベースバンドを統合した14nmプロセスチップの開発を計画しているとみられるが、これについてはまだ公式には発表していない。
一方、ARMのエコシステムは、プロセス技術の微細化を進める上で、Intelより多くの課題を抱えている。その課題は、コストやファウンドリ供給、歩留まり率、材料科学など多岐にわたる。ARMは、ファウンドリコストや研究開発費の不足によって、ムーアの法則を維持していくのが難しくなっている。
ARMのエコシステムは、28nmプロセス技術の開発にさえ苦戦している。GLOBALFOUNDRIESは最近になって28nmプロセスのチップの量産を開始したが、それまでは、28nmプロセスのチップを製造できるファウンドリはTSMC1社だけで、業界全体が供給不足に陥っていた。
Intelは現在、22nm世代のFinFETプロセス技術の開発を進めている。さらに、14nm世代以降のノードではEUV(極端紫外線)リソグラフィを採用したい考えだ。ARMは、Intelとの競争において、これまでよりさらに大きな危機に直面することになりそうだ。
一方、Intelの設計チームは、自社のファブと連携し、総力を挙げて開発を進めている。Perlmutter氏は、「われわれは常にファブと密接に連携し、新しく大きな課題に直面する度に、新たな側面や異なった側面を持つ技術の開発に注力して問題を克服してきた」と語っている。
同氏は、「技術を開発するには、致命的な問題にも挑む覚悟を持たなければならない。Intelの開発チームは、さまざまな課題について議論を重ねた末、Haswellの設計を実現する方法を見いだした」と述べた。
「こうした努力の結果、10年前にはとてつもなく複雑に思えた問題も、今ではたやすい事に感じられるようになった。われわれは常に新たな課題を克服しなければならないが、どんな製品の開発においても必ず、『なるほど!』と思う瞬間を経験している」(同氏)。
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