防爆仕様にも対応可能な多目的スマートカメラ:テスト/計測
関電エネルギーソリューションとオリエントブレインが共同開発したスマートカメラを用いることで、安全監視や画像検査が必要な現場で生じるさまざまな課題に対して、柔軟に対応することが可能となる。
総合エネルギーサービス会社の関電エネルギーソリューション(以下、Kenes)と防爆カメラで強みを持つオリエントブレインは2012年9月27日、工場や商業ビルなどでの監視や検査用途に向けたスマートカメラを共同開発したと発表した。Kenesは「Wiz-cam(ウィズカム)」、オリエントブレインは「NEXT-EYE(ネクストアイ)」の製品名で、それぞれ2012年11月から販売を始める。
目的に応じて搭載カメラを選択
新製品は、National Instrumentsのグラフィカル開発プラットフォーム「LabVIEW」を採用したことや、3種類のカメラが選択できること、オプションで防爆仕様や屋外仕様も用意していることなどから、さまざまな顧客のニーズにも柔軟に対応することが可能となる。
スマートカメラの外形寸法は156mm×110mm×92mm(レンズを除く)で、画像処理を行うCPUボードとカメラを組み合わせて一体化している。CPUボードには動作周波数が1.6GHzのAtomプロセッサが実装されている。カメラは200万画素CMOSセンサーを採用したフルHDカメラが標準搭載となっているが、産業用カメラインタフェース規格である「GigE Vision」対応カメラ、あるいはフリアーシステムズ製で手のひらサイズの小型赤外線サーモカメラ「A35」を搭載したタイプも用意している。カメラとCPUボードの接続にはギガビットイーサネットを採用しており、画像処理用途に応じてカメラを容易に取り替えることができる。
さまざまな設置環境にも対応している。一般的な環境で利用する仕様に加えて、耐圧防爆仕様や屋外仕様のハウジングをオプションで用意した(図1)。耐圧防爆仕様への適合はオリエントブレインが最も得意とする技術の一つであり、産業用スマートカメラの分野でも、こうした強みを生かしていく。これ以外にも、PCと連動することで画像処理の分散化や複数台のカメラを接続したシステム構成を取ることができたり、被測定物の異常時に、各種インタフェースを介して信号を外部に出力し、パトライトや表示モニターを直接制御したりすることもできる。
アイコンを選択するだけで制御プログラムを容易にカスタマイズ化
新開発のスマートカメラは、ソフトウェアレベルでもシステムに応じて最適なプログラムをユーザー側でより早く、効率よく開発できるようにした。その1つがグラフィカル開発プラットフォーム「LabVIEW」をベースとしていることである。
新製品にはアイコンを選択していくだけで画像処理プログラムを開発できる画像処理構築支援ソフトウェア「アプリケーションアドバイザー」が付属されている。このソフトウェアはLabVIEWをより簡略化したもので、PCにこのアプリケーションアドバイザーをインストールすると、図2のような画面がPCのディスプレイに表示される。画面に表示されたアイコンを処理内容に応じて選択していけば、画像処理プログラムが完成する仕組みだ。ラインの異常監視・検査や温度分布測定・管理などを担当するエンジニアが、C言語などプログラム言語の十分な知識がなくても、画像処理に必要なアイコンを選択するだけで、制御プログラムのカスタマイズが容易に可能となる。もちろん、さらに高度なプログラム開発などが必要な場合は、Kenesやオリエントブレインのサポートを受けることもできる。
図2 付属ソフト「アプリケーションアドバイザー」の画面。赤い枠で囲まれた画面の右側に処理内容を示すアイコン、右側に処理手順が表示される。アイコンを選び組み合わせることで、プログラミングの専門知識がなくてもプログラムを作成することができる。
新製品の価格はオープンだが、サンプル価格はフルHDカメラ搭載の標準モデルで65万円、赤外線サーモカメラ搭載モデルだと110万円の予定である。両社では、工場や商業ビル、スーパー、レストランなどにおいて、人数カウントや温度分布管理、製品や設備の異常監視といった用途に新製品を提案していく。初年度は2社で500台の販売を見込んでいる。
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