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【NIWeek 2012】LabVIEWが奏でる“オーケストラ”が青く光る!?――数多くのデモに注目:テスト/計測 フォトギャラリー
LEDアニメーションに同期させて楽器を演奏するデモやビール醸造システム、3Dプリンタなど――。2012年8月6日〜9日(現地時間)に開催された「NIWeek 2012」の展示会場には、National Instrumentsのグラフィカル開発ツール「LabVIEW」や計測/制御ハードウェアを、組み込みシステム用途で活用したデモが注目を集めていた。
2012年8月6日〜9日(現地時間)に開催された「NIWeek 2012」の展示会場には、National Instrumentsのグラフィカル開発ツール「LabVIEW」や計測/制御ハードウェアを、組み込みシステム用途に活用したデモが数多くあった。
組み込みシステム分野は、これから需要拡大が期待される市場の1つであると同時に、技術者の人材不足が顕在化し、開発効率の改善が叫ばれている分野でもある。展示会場の幾つかのパビリオンのうち、組み込みシステムに関連したパビリオンの様子をフォトリポート形式で紹介する。
図1 Intelの組み込みプロセッサとLabVIEWのシステム制御で楽器を奏でる 展示会場メインのLabVIEWゾーンでは、アニメーションに同期させて楽器を演奏するデモが注目を集めていた。この制御システムは、リアルタイムOSを搭載したIntelの組み込みプロセッサ「Atom」や、NIの「EtherCAT RIO」などで構成されている。LabVIEWで開発した制御プログラムによって、ゴム製ボールが装置から発射され、ボールが落下して圧電センサーが取り付けられたパネルに触れる。それをセンサーが感知して音楽を奏でる仕組みだ。音楽を奏でると同時に、パネルに取り付けられた青色LEDも点灯する。EtherCATは、イーサネット規格を拡張した工業用リアルタイム通信プロトコルである。ちなみにこのデモシステムは60日という短期間で開発されたという。
図2 LabVIEWの温度制御が“ビール”をうまくする!? ビールの醸造システムを模擬したデモにも人垣ができた。ビールの醸造工程では酵母を発酵させる段階における、温度管理が重要となる。今回のデモに組み込まれた制御システムでは、シングルボードRIOを用いて、センサーによる温度監視とヒーターの制御を徹底していた。デモの説明者は、シングルボードRIOを採用した理由に、カスタマイズの容易性を挙げた。今回、タンクのバルブを制御する回路や、圧力センサーをモニタリングするためのカスタムボードを独自に開発し、追加した。
図3 LabVIEWとCompactRIOを“3Dプリンタ”として使う 3Dプリンタは、3D CADデータを基に立体を造形する装置であある。製造分野では、製品や部品のデザイン検討や機能検証のための試作に使われている。会場では、LabVIEWの検証済み制御プログラムをCompactRIOに実装し、実際に3Dプリンタとして使って見せた。LabVIEWを使うことで、3Dプリンタを設計するときに、どの程度のモーター性能が必要かどうかをシミュレーションで確かめることが可能だ。また、ディスプレイにプリント中のデータを表示したり、完成までの時間を表示したりといったユーザーインタフェースもLabVIEWで開発することができる。
図4 “岩盤掘削システム”の圧力や液量をモニタリングしつつ最適化 Lime Instrumentsは、LabVIEWやCompactRIOを使って、高圧の液体を注入することで岩盤を掘削する工業システムを開発している。この岩盤掘削システムは、高圧の液体を掘削場所まで送り込むポンプ制御と、その状態監視などを担当している。システム構成は、システム全体を制御・監視する装置、液体の入った容器、幾つかの液体を混合する容器など。このシステムでは、備え付けられた複数のポンプに注入する液体の圧力をモニタリングしつつ、注入した液量を計測しておく必要がある。従って、液体の流量や圧力を制御するループは、FPGAを活用したハードウェアの高速処理が有用となる。一般的に、FPGAなどをうまく使いこなそうとすると、システム設計に要するエンジニアの数も増えてしまう。しかし、会場の説明員は、「LabVIEWによるグラフィカルシステム開発を採用することで、わずかなエンジニア数で最適な制御システムを開発することができた」と語った。
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