ムーアの法則はもう限界? リソグラフィ技術開発が追い付かず:ビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)
半導体の技術革新の源となってきたムーアの法則だが、さすがに限界が見え始めている。その原因の1つがリソグラフィ技術開発の遅れだ。
「ムーアの法則」は、数十年間にわたり半導体の技術革新の原動力となってきた。だが、次世代露光技術と期待されるEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術の開発が遅れていることから、その勢いは減速しつつある。2012年9月30日〜10月4日にベルギーのブリュッセルで開催されたEUVリソグラフィの国際会議「2012 International Symposium on Extreme Ultraviolet Lithography(2012 EUVL Symposium)」で、専門家はこうした見解で一致した。
次世代の14nmノードの回路パターンを露光するには、EUVシステムは、従来よりも20倍強い光源を必要とする。2012 EUVL Symposiumでの議論のあと、あるリソグラフィ技術の研究チームは、「2014年までにEUVリソグラフィ用の200Wの光源が開発されることを期待している。しかし、その実現はもっと先になるだろう」と話していた。
ベルギーの研究機関であるIMECの研究チームは2011年に、オランダのリソグラフィ装置ベンダーであるASMLが開発したEUVリソグラフィシステム「NXE 3100」を導入し、200Wよりも弱い光源を使用して、約3000枚のウエハーを処理した。しかし、数百万米ドルに上る同システムを導入しても、IntelやSamsung Electronics、TSMCなどの半導体メーカーが商用化しているプロセスに比べて、1/15〜1/30のスループットしか達成できていない。
IMECで最新リソグラフィプログラムのディレクタを務めるKurt Ronse氏は、2012 EUVL Symposiumの講演の最後に「EUVリソグラフィ用の光源は、過去3年間で20倍に強められた。しかし、EUVリソグラフィ技術を実用化するには、今後2年間で光源をさらに20倍に強めるという偉業を達成しなければならない」と述べた。IMECの研究グループはさらに、2016年までに500〜1000Wの光源を開発するよう、呼び掛けているという。
EUVリソグラフィ技術の開発の遅れによって、半導体業界はムーアの法則の次の一歩を踏み出せず、半歩の進展で止まっている状態だ。Ronse氏は、「半導体業界は、次世代技術として14nmプロセスの実用化を目指しているが、実際の技術開発は16nmまたは17nmにとどまると予想される」と述べている。
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