AMD、ARMベースのサーバ向けSoC市場に本格参入:ビジネスニュース 企業動向
PC向けx86プロセッサを専門に手掛けてきたAMDが、ARMベースのサーバ向けSoC市場に本格的に参入する。だが、競争が激化している同市場において、AMDがどこまで食い込めるのかは、現時点ではまったく分からない。
AMDは、ARMコアを搭載したサーバ向けチップ市場に正式に参入することを表明した。同社は、PC向けx86チップメーカーとしての長年の歴史を、大きく変えることになる。AMDが今後、ARMチップ市場において、どのくらいの速さでどこまで突き進んでいけるのか、また、成功することができるのかどうかは、今のところまったく予測不可能である。
AMDは今後、ARMの次世代アーキテクチャ「ARMv8」をベースとした64ビットのARM SoC(System on Chip)を開発する予定だ。2014年の出荷開始を見込んでおり、チップとしてだけでなく、SeaMicroブランドのシステムにも搭載するという。なお、AMDは2012年2月に、サーバ事業を手掛けるSeaMicroを買収すると発表している。
AMDは、現段階ではARMコアのカスタム開発は行わないようだ。すなわち、ARMが供給する標準デザインのコアをそのまま利用する。またAMDは、カスタムコアを開発できる形態のアーキテクチャライセンスを将来的にARMから取得するかどうかについては、コメントを控えている。AMDが今回、ARMが「Cortex-A15」の後継に位置付ける64ビットコア「Atlas」をそのまま採用すると決断していることから、AMDが製品投入までの期間の短縮を目指しているのは明らかだ。
64ビットARMベースのサーバ向けSoC市場は現在、競争が激化している。AMDは、自社のサーバ分野における深い専門知識と、SeaMicroが独自に開発したインターコネクトファブリックを組み合わせることにより、同市場において競争力を持つことが可能になるだろう。しかし、AMDが、x86市場における低迷状態から脱却できるかどうかは、現時点ではまだ定かではない。
AMDは2012年10月、売上高が10%減少したことを明らかにし、従業員の15%を解雇すると発表したばかりだ(関連ニュース)。同社は今後、組み込みシステム分野に注力していくと表明している。AMDが置かれた厳しい状況をみれば、同社はARMベースのサーバ分野やARMカスタムコアの分野に、より積極的に進出してもいいのではないだろうか。
x86プロセッサメーカーであるAMDにとって、ARMアーキテクチャを選択するという決断は、非常に重要な転機となるだろう。AMDが今後、組み込みシステム市場や、現在伸びているマイクロサーバ市場において、多くの競合他社との差別化を実現し、確固たる地位を築くことができるかどうかは、ある程度時間がたたなければ分からない。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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