スパコン性能1位は「Titan」、コプロセッサでは「Xeon Phi」の採用が広がる:プロセッサ/マイコン(1/2 ページ)
2012年11月、スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」が発表された。今回、首位の座を獲得したのは、オークリッジ国立研究所に設置された「Titan」である。また、TOP500のうち7つのシステムで、Intelのコプロセッサ「Xeon Phi」が使われていた。
2012年11月、スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」が発表された。それによれば、コプロセッサ(アクセラレータ)として最も多く採用されたのは、前回の発表(2012年6月)に続き、米NVIDIA製のGPUだった。その一方で、TOP500のうち7システムで、米Intelのコプロセッサ「Xeon Phi」が使われている。また、インターコネクトに関しては、インフィニバンド(Infiniband)を採用したシステムが最も多く、イーサネットを大きく引き離す結果となった。
今回、TOP500の第1位を獲得したのは、米オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)に設置された「Titan(Cray XK7)」である。このシステムは、米AMD(Advanced Micro Devices)のプロセッサ「Opteron」を約30万個と、NVIDIAのGPU「K20x」を約26万個使用している。その演算性能は、ベンチマークプログラムとしてLINPACKを用いた場合で17.59PFLOPS(ペタフロップス)を達成した。
Titanの消費電力は8.21MWにも上る。しかし、エネルギー効率で見ると2.143GFLOPS(ギガフロップス)/Wを実現しており、米IBMのアーキテクチャ「BlueGene/Q」を使用したシステムをわずかな差で上回っている。BlueGene/Qは、TOP500のうち第2位、第4位、第5位、第9位のシステムで採用されており、10位以内では最も多く採用されたアーキテクチャとなった。
今回のTOP500では、23システムがPFLOPS級の性能を実現していた。世界で初めてPFLOPS級の性能を達成したスーパーコンピュータはIBMの「Roadrunner」である。このシステムが1PFLOPSを超える性能を達成し、TOP500で首位に立ったのは2008年6月のことだ。
性能向上の原動力となっているのは、マルチコアのコプロセッサを大量に使用することだ。2012年6月のTOP500では、58システムがコプロセッサを採用していた。それが今回は62システムまで増加している。また、NVIDIAのGPUをコプロセッサとして搭載したシステムは、今回50システムに上った。
IntelのXeon Phiは、7システムに採用された。テキサス大学TACC(Texas Advanced Computing Center)の「Stampede」はそのうちの1つである。同システムは、米Dellの演算シャーシ「PowerEdge C8220」を使用して構成されている。演算性能は2.6PFLOPSで、TOP500の第7位にランクインした。
AMDのGPU「Radeon」は3システム、「Cell Broadband Engine」をベースとしたIBMの「PowerXCell」は2システムにそれぞれ採用された。Xeon Phiは7システムに搭載されているので、両者を抑えて優位に立ったと言えよう。
編さん者の1人としてTOP500のリスト作成を手掛けたローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のErich Strohmaier氏は、「現在、求められているのはエネルギー効率に優れたアーキテクチャだ。IBMのBlueGene/Qや、NVIDIA、Intelなどが提供するコプロセッサは、エネルギー効率の向上という共通の目標に向けて、それぞれ異なる手法を提供している。現時点では、これらのうちどれが勝者であるかを決めることはできない」と述べている。
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