よみがえった世界最古のコンピュータ:ビジネスニュース(2/2 ページ)
2012年11月、英国ブレッチリーパークにあるThe National Museum of Computing(TNMOC)で、「Harwell Dekatron」を再起動する試みが行われた。このHarwell Dekatronは、1951年に製造された世界最古のコンピュータである。TNMOCは、3年間もの時間をかけ、このHarwell Dekatronをよみがえらせることに成功した。
Harwell Dekatronは、Post Office 3000型のリレーを用いて製造された。このリレーは、電話交換局という過酷な環境でも10年間稼働できるよう設計されており、極めて出来の良いものだった。
シーケンス制御はリレーを土台としていたが、演算は真空管とトリガー管、そして計数放電管を用いて電子的に行われていた。高電圧を生成する電源装置を2台備えており、整流器によってメインのAC電源からいくつかの高いDC電圧を生成していた。また、安定化電源装置により、さまざまな回路に用いるために約12種の電圧が生成されていた。
Harwell Dekatronの整流器は、この装置の稼働期間中に何度も改修された。1950年代の酸化銅整流器から現代のシリコンダイオードを使用した整流器に至るまで、あらゆる技術を利用した整流器が使われた。もともとの酸化銅整流器を現代の整流器に置き変えたのはTNMOCだが、そのほかの技術を用いた整流器は、Wolverhampton and Staffordshire Technical Collegeで使用されていたときに既に置き換えられていたという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- なぜ「京」がスパコン1位を獲得できたのか
SPARCプロセッサを採用したことだけが勝因ではない。インターコネクト性能とプロセッサ性能のバランスが良いことが理由だ。TOP500で最も消費電力が大きなスーパーコンピュータでもあるが、エネルギー効率は4位と優れている。 - クイズ王に勝利したIBMの「Watson」、学生に実力を披露する
与えられたトピックに関する質問に解答するために最も適したテキスト資料を特定する「知識源拡張アルゴリズム」と、解答候補が正しい可能性が高いことを認識する能力を向上させる「スコアリングアルゴリズム」はどのような用途に使えるのだろうか。 - ポストPC時代の到来、“Wintel”の勢いにかげり
スマートフォンとタブレット端末が台頭する新たなコンピュータ市場では、IntelとMicrosoftが圧倒的な優位性を誇る時代は終わりを告げているようだ。