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英語の文書作成は「コピペ」で構わない「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(11)(5/6 ページ)

実践編(資料作成)の後半となる今回は、マニュアルや論文などの作成方法を紹介します。とはいえ、英語に愛されないエンジニアであるわれわれが、数十ページにわたる英語の資料など、そもそも書けるわけがない! というわけでアドバイスはただ1つ、「マネすること」です。さらに、「だけどマネだけではどうにもならない」と悩む皆さまのために、“江端的リーサルウェポン”も特別に公開します。

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付録2:「コピペ戦略」と著作権の関係に関する考察

 さて、皆さんが、本編で紹介した「コピペ戦略」で心配しているのは、おそらく著作権の問題ではないかと考えます。

 結論から申し上げると、「コピペ戦略」が著作権に抵触する可能性はほとんどありません。

 コピペしたものを、そのまま(As Is)印刷したり、ネットに流通させたりすれば、もちろん、ダイレクトに著作権侵害(前者は複製権侵害[著作権法21条]、後者は公衆送信権侵害[同23条])が認定されますが、As Isとはならない本ケースでは、これには該当しません。

 問題となるのは、今回のコピペ戦略が、「(コピペのベースとした)著作物を翻訳し、編曲し、もしくは変形し、または脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」である「二次的著作物」(同2条1項11号)に該当するか否かです。

 二次的著作物とは、「仮面ライダー」「ウルトラマン」「魔法少女」です。えーっと、何を言っているか分かりませんよね。つまりですね、変身前の人間と、変身後のヒーロー、またはヒロインは、その形(表現方法)は変化しているものの、そのキャラクターにおいては同一の人格を形成しています。「変身前も変身後も、同一の人格に支配され、連続性を有している」と言いたかったのです。


写真はイメージです

 具体的には、小説を映画にしたもの(映画化)、クラッシック音楽をジャズ調にアレンジしたもの(編曲)、絵画を彫刻にしたもの(変形)は、全て二次的著作物と認められます。

 比して、「コピペ戦略」は、そのコピペの原本となった著作物(マニュアル、論文、特許明細書、各種の書類)の文章の「用語」や「構成」を利用していますが、その内容と原本の著作物の間に連続性は全くありません。というか、はっきり言って、「コピペ戦略」は、そのベースとなる著作物との連続性をズタズタに破壊しまくっており、「二次的著作物」になりようがありません。

 では、「用語」や「構成」に著作性が認められるか否かが問題となります。「用語」に著作性がないのは当然として、「構成」に著作性が認められるとは考えられません。

 1つの例を考えてみましょう。4コマ漫画の「起→承→転→結」の構成をひっくり返して、「結→転→承→起」 の構成を考えた漫画家Aがいたとします。この漫画家Aは学園青春ラブコメを描きましたが、同じ「結→転→承→起」の構成を使った戦国武将のパロディ漫画家Bに対して、出版の差し止めなどを請求できるでしょうか?

 無理だと思います。漫画家Bの著作物は、漫画家Aの著作物に依拠していないからです。

 以上より、「コピペ戦略」によって創作した著作物は独立した著作物であり、ベースとなる著作物の二次的著作物にはならないと考えるわけです。

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