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英語の文書作成は「コピペ」で構わない「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(11)(6/6 ページ)

実践編(資料作成)の後半となる今回は、マニュアルや論文などの作成方法を紹介します。とはいえ、英語に愛されないエンジニアであるわれわれが、数十ページにわたる英語の資料など、そもそも書けるわけがない! というわけでアドバイスはただ1つ、「マネすること」です。さらに、「だけどマネだけではどうにもならない」と悩む皆さまのために、“江端的リーサルウェポン”も特別に公開します。

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付録3 その他の書類を英語で作成する場合の留意点

 さて、この「コピペ戦略」ですが、全ての英語文献作成において基本的には同じです。

 注意しておくべき点を、下記に記載しておきます。

■論文

  • (難しいですが)審査を担当する査読者が誰になるのか、ある程度の推測が可能であれば、その人の論文をコピペのベースにするとよいでしょう。その人のスタイルを踏襲することで、その人が読みやすい文章になるからです。
  • また、引例は、その人の論文を大量に記載し、基本的にはその論文を「批判」するのではなく「よいしょ(賞賛)」する方向で、論述を進めましょう。こびを売ることは、査読を通過させるための有効な戦略です。
  • その分野の慣用語については、マニュアルよりも厳格に適用するようにしてください。間違った慣用語が何度も登場すると、査読者はどんどん機嫌が悪くなっていくからです。

■特許明細書

  • 簡単な単語かつ容易なフレーズで表現することを忘れないでください。世界各国の特許庁の審査官は、大量の特許明細書の審査で疲れ果てております。訳の分からん英文の明細書であれば、数フレーズを読んだ段階で、審査官は拒絶理由を打ってきます。彼らは、「あわよくば、このまま黙って死んでくれ(拒絶理由に屈服してくれ[拒服])」と願っているのです。

■標準化等の提案書

  • コピペの対象として、その標準化ワーキンググループのチェアマンやキーパーソンが書いたものを選ぶとよいでしょう。理由は論文の項で述べたものと同じです。

■各種設計書/仕様書

  • 社内文書があれば、それをコピペするのがよいでしょう。その文章を作った方にいろいろと質問できるというメリットがあるからです。
  • また、書き方で文句を言われた場合に、「その人が書いたものを参考にした」と主張できるメリットもあります。“その人”は、今では会社で偉い役職にいるケースが多いものです。会社の重役の英文記述スタイルにケチを付けることは、サラリーマン社会において、なかなか勇気のいる行為なはずです。

本連載は、毎月1回公開予定です。アイティメディアIDの登録会員の皆さまは、下記のリンクから、公開時にメールでお知らせする「連載アラート」に登録できます。


Profile

江端智一(えばた ともいち) @Tomoichi_Ebata

 日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

 意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

 私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「江端さんのホームページ」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。



本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。



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