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ルネサスから流出した技術者を、GLOBALFOUNDRIESが狙う?ビジネスニュース オピニオン

2013年秋の大規模な人員削減に続き、さらに3千数百人の従業員を追加削減すると発表したルネサス エレクトロニクス。経営難にあえぐ同社から流出する技術者を、虎視眈々(たんたん)と狙っている外国メーカーもあるようだ。

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 ルネサス エレクトロニクスは2013年1月、3千数百人の従業員を追加削減すると発表した。同社は2012年の秋にも40歳以上の従業員を対象に早期退職募集を実施、7500人規模の人員削減を行っている。

 一般的に考えると、早期退職した従業員の多くは、ルネサスに人生の長い時間をささげてきたにもかかわらず、再びフルタイムの働き口を見つけることはできないかもしれない。

 もう一度考えてみよう。上述した文章には、「日本では」という言葉が抜けている。

 ルネサスを早期退職した熟練の半導体エンジニアなら、数千人とは言わないまでも、少なくとも数百人は日本以外の半導体メーカーで職を得ることができるだろう。

 東京でささやかれているうわさによると、日本人の熟練した専門技術者を積極的に求めている企業の1つとして、GLOBALFOUNDRIESの名が挙がっているようだ。こうした企業は、ルネサスから大量に流出した人材に目を光らせているのである。

 米国ニューヨーク州サラトガでFab 8の建設を着工して以降、GLOBALFOUNDRIESはニューヨーク州だけで2000人以上を雇用しており、2014年末までにさらに約3000人を増員する計画だという。同社のニューヨーク拠点における従業員のうち約90%は、技術部門もしくは製造部門での役割を担っている。同社の広報担当者は、日本人技術者の雇用についての質問に、「当社が日本人の熟練した専門技術者をある程度雇用したことは間違いないが、具体的な数や割合に関する詳細は明らかにできない」と答えた。

 東京の業界筋が匿名を条件に明らかにしたところによると、GLOBALFOUNDRIESの日本支社は、既に35名の日本人技術者を雇い入れたという。これらの技術者たちは、最初の一団としてニューヨークに派遣されるための準備に入っており、その後100名から200名もの日本人技術者が彼らの後に続く計画とみられる。

 日本のメーカーを退職後、韓国や台湾、中国のメーカーで働いている日本人技術者の数について、公式なデータは何もない。だが、その数は多いと推測する向きもある。そうした日本人技術者の中には、日本のメーカーの半導体製造ラインで経験を積み、技術を磨いてきた人も含まれているという。

 GLOBALFOUNDRIESはそもそも、“ルネサスの元技術者たち”を当てにするとは考えてもいなかっただろうが、今となっては、Fab 8の建設計画は非常にタイムリーだったようにも思える。

 一方、ルネサスの従業員は、ルネサスや同社の経営陣に対して、ほとんど期待を抱いていないと言ってよいだろう。2012年秋の人員削減は、当初は5000人規模になるとみられていた。だが、ふたを開けてみれば、早期退職を希望した従業員は7500人を超えた。この大規模な人員削減計画は日本で大きく報道され、「ルネサスの技術者の大量流出」と危惧された。

【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】

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