やはりSamsungを切ったApple、「A7」プロセッサはTSMCがまもなく設計完了か:ビジネスニュース 企業動向
業界筋によれば、TSMCが2013年3月中にも、Appleの新型プロセッサ「A7」の設計を完了するという。A7は、次世代「iPhone」および「iPad」に搭載される予定だ。スマートフォン関連の特許係争を理由に、Appleがプロセッサの製造委託先をSamsung Electronics以外にするという臆測は、以前から飛び交っていた。
台湾のニュースメディアDIGITIMESが匿名筋の情報として伝えたところによると、TSMCは2013年3月中に、20nmのCMOS技術を採用したAppleの「A7」プロセッサの設計を完了する(テープアウト)予定だという。A7プロセッサについては、2014年初頭に量産が予定されており、それに間に合う見込みとなる。
A7プロセッサは、次世代「iPhone」および「iPad」に搭載される予定だ。DIGITIMESによれば、2013年第1四半期に設計を完了させることで、同年5月〜6月頃にリスク生産(試験生産)を、さらに2014年第1四半期に量産を開始できる見込みになるという。
TSMCは、同社が台湾に所有している3つの製造施設「GIGAFAB」のうち、台南市にある「Fab 14」においてA7プロセッサを製造する予定だ。現在は、同ファブの生産能力を増強しているとみられる。
TSMCにとってFab 14は、20nmのCMOS技術を採用したチップを初めて量産する工場となる。さらに、16nm世代のFinFETを適用したチップも、同工場で生産する予定だという。
TSMCがAppleのA7プロセッサの製造を予定していることについては、それほど驚くべき事実ではない。こうしたうわさは既に流れていた。AppleとSamsung Electronicsはこれまで、両社のスマートフォンをめぐり、世界各国で特許係争を繰り広げてきた。このため、少なくとも2011年頃から、「これまでSamsungは、iPhone/iPadのプロセッサの唯一のサプライヤであったが、Appleは製造委託先を別のファウンドリに変更するのではないか」という臆測が飛び交っていた。
Appleは2011年に、TSMCと協業し、28nm世代のプロセス技術を適用した「A6」プロセッサの供給をTSMCから受けるのではないかとみられていた。しかし、それに伴うIP(Intellectual Property)などの設計要素の移行が難航したことから、この計画は頓挫したようだ。
加えて、「IntelもAppleの供給先になるのではないか」といううわさも流れている。Intelは、AppleのノートPC「MacBook」向けにx86プロセッサを供給していることもあり、両社は徐々にファウンドリ提携を強化しているようだ。
このようにAppleは、プロセッサの製造委託先を複数のファウンドリに移行する可能性がある。ただし、委託先の変更は段階的に実施していくことになるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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