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西武ドームがスタジアムWi-Fiシステムを導入、141台のAPで数万人の観客に対応無線通信技術

西武ドームでは、プロ野球公式戦が開幕した2013年3月29日から、来場者への無料の無線LANサービス「Lions Wi-Fi」が始まっている。数万人規模の来場者が、無線LANによるインターネット接続を行えるように、合計141台のアクセスポイントを導入している。

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「Lions Wi-Fi」

 シスコシステムズと西武ライオンズ、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(以下、NTT BP)など5社は、西武ドーム(埼玉県所沢市)内に「スタジアムWi-Fiソリューション」を導入し、来場者に対する無料の無線LANサービス「Lions Wi-Fi」を始めると発表した。プロ野球公式戦の開幕に合わせ、2013年3月29日からサービスを開始している。

 同サービスでは、西武ドーム内外に合計141台のアクセスポイント(AP)を設置することで、数万人規模の観客が密集する場所でも高い密度のカバレッジを確保する。さらに、西武鉄道の全駅にWi-Fiエリアを拡大し、各駅と連携したシームレスなサービス展開も検討していく。

ドーム内を3つのブロックに分割

 スタジアムWi-Fiソリューションでは、1台の無線LAN用APがカバーする領域を狭く限定する一方で、設置密度を高めている。これによって、AP間の電波干渉を防ぎつつ、全体の通信容量を確保した。具体的には、西武ドーム内を、屋根あるいは屋根に近い「上段部」、座席のあるスタンド「中段部」、グラウンドと観客席を仕切る壁がある「下段部」と、3つのブロックに分け、それぞれに指向性の高いアンテナとAPを合計で82台設置した。それとは別に西武ドーム外の関連施設にも合計59台のAPが設置されている。

西武ドーム内を上段、中段、下段の3ブロックに分け、それぞれのAPのカバー領域を小さくすることで、より大きな通信容量を確保した。左図がスタンド上段部、中央がスタンド中段部、右図がスタンド下段部に、それぞれ取り付けられたアンテナである。(クリックで拡大)。

 スタジアムWi-Fiソリューションを使った来場者に対する新サービスであるLions Wi-Fiでは、無料でインターネット接続を行える(1回90分、1日3回まで)。この他、選手年鑑に掲載された埼玉西武ライオンズ(以下、ライオンズ)の情報、「Lions@YouTube」の動画、試合観戦中のリアルタイムでの対戦データ、ライオンズの試合日程や対戦チームの情報なども閲覧可能だ。サービスエリア内であれば、Wi-Fi対応端末でこれらのサービスを楽しむことができる。


左からシスコシステムズの上席副社長を務める堤浩幸氏、ライオンズの球団社長を務める居郷肇氏、NTT BPの社長を務める小林忠男氏

 ライオンズの球団社長を務める居郷肇氏は、「ライフスタイルの変化に対応し、観客が楽しめる環境を提供していきたい」と語る。スタジアムのWi-Fiシステムの開発と設計を担当したシスコシステムズ上席副社長の堤浩幸氏は、「今は『つなぐ』がキーワードとなっている。2017年には100億台のモバイル端末がネットワークで接続されることになろう。今年米国で開催された『スーパーボウル』や『ワールドベースボールクラシック』の会場をはじめ、多くのスタジアムで当社がWi-Fiアクセスのシステムを提供してきたが、日本でこれだけ本格的なWi-Fiシステムが導入されるのは初めてのことである」と述べている。

 さらに、NTT BPの社長を務める小林忠男氏も、導入されたWi-Fiシステムの特長について以下のように述べた。「Wi-Fiネットワークを利用したことで、データ通信速度は約20Mビット/秒と、LTEに比べ10倍高速となり、使用できる周波数帯域も広いため西武ドーム全体での通信容量は約100倍となる。さらに、携帯電話の通信業者と契約していない観客でも、Wi-Fi対応の端末さえあれば今回のサービスを利用することが可能である」。

 今回のサービスには前出の3社のほか、西武鉄道とミライトも参加している。

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