ネットワークの仮想化を実現、PMC-Sierraが100G対応OTNプロセッサ:ビジネスニュース 企業動向
DIGI 120Gは、100Gビット/秒の光伝送ネットワーク(OTN:Optical Transport Network)装置向けプロセッサである。1チップに10G/40G/100Gビット/秒のトランスポート、アグリゲーション、スイッチングの機能を統合した。また、1Gから100Gビット/秒まで1Gビット/秒単位で通信速度を変更できるなど、ダイナミックに帯域幅を割り当てることができOTNの仮想化を可能とする。
PMC-Sierraは2013年4月1日、100Gビット/秒の光伝送ネットワーク(OTN:Optical Transport Network)装置向けプロセッサ「DIGI 120G(PM5440)」の発表に合わせて、新製品および同社の光ネットワーク用半導体事業に関する記者説明会を東京都内で開催した。
DIGI 120Gは、10G/40G/100Gビット/秒のトランスポート、アグリゲーション、スイッチングの機能を1チップに統合した。しかも、1Gから100Gビット/秒まで1Gビット/秒単位で通信速度を変更することができる機能を備えたプロセッサである。
データ通信を中心としたモバイル端末の普及などにより、ネットワークのトラフィック量が急増している。PMC-Sierraで通信デバイス事業部マーケティングアプリケーション部の本部長を務めるBabak Samimi氏は、「大量のデータを高速かつ高い信頼性で伝送するには、経済性も含めて光ネットワークの帯域幅を高い効率で共有し、ダイナミックに割り当てる機能が不可欠だ。そのために『ネットワークの仮想化』技術をクラウド型サービスにも取り込む必要がある」と話す。
「ネットワークの仮想化」とは、一般的にSDN(Software Defined Network)と呼ばれている技術で、物理的に接続されたネットワーク上で、それとは別に仮想的なネットワークを構築することが可能となる。これによって、特定用途で必要とされるネットワークの速度向上や運用方法のカスタマイズなどができるようになるといわれている。
年平均成長率13%増で拡大するOTN装置市場
調査会社によると、OTN関連の伝送装置市場は、2011〜2016年の年平均成長率が13%増と予測され、2016年までに光伝送装置全体の売上高の約8割をOTNが占めるとみられている。また、現在は10Gビット/秒をベースとしたラインカードが主流となっているが、2014年までには100Gビット/秒の波長分割多重/OTNラインカードの販売金額が、10G/40Gビット/秒のラインカードの合計販売金額を上回ると予想されている。特に、都市間通信網におけるポート伝送速度は100Gビット/秒が主流になるとみられている。
こうした中でPMC-Sierraは、アクセス網と都市間通信網がSDH(Synchronous Digital Hierarchy)からOTNへ移行するのに伴い、2009年に第1世代のOTNプロセッサとして、「HyPHY 20G(PM5420)」と「HyPHY 10G(PM5426)」を発表した。2011年にはパケット通信向けOTNプロセッサとして、「HyPHY 20Gflex(PM5450)」と「HyPHY 10Gflex(PM5456)」のサンプル出荷を始めた。このほど発表した第3世代のOTNプロセッサが、120Gラインカードに向けた「DIGI 120G(PM5440)」と「DIGI 60G(PM5441)」である。
PMC-Sierraが提供するOTNプロセッサの製品群。第3世代品として、「DIGI 120G(PM5440)」と同時に「DIGI 60G(PM5441)」も発表した。(クリックで拡大) 出典:PMC-Sierra
DIGI 120Gは、OTNトランスポートとOTNアグリゲーション、OTNスイッチングの機能を1チップでサポートしている。OTNマックスポンダやOTNスイッチングカードにDIGI 120Gを搭載すれば、アグリゲーションの効率を高めることができ、100G回線にも1G/10Gビット/秒といった低速度のサービスを組み込むことが可能となる。
また、DIGI 120Gはクライアント信号のビットレートに応じて、柔軟にペイロード容量を設定できる「ODUflex」規格に対応しており、1Gから100Gビット/秒まで1Gビット/秒単位でダイナミックに帯域幅を変更することができる。この機能により装置ベンダーは、マルチサービスに適応できるOTNスイッチカード製品群を、パケット光伝送プラットフォーム(P-OTP)や、再構成可能な光信号の分岐/挿入を行う多重化システム(ROADM)向けマックスポンダにも用いることができるという。
これまで、ラインカードはサポートする機能によって、異なる複数のASSP(特定用途向け標準IC)チップを実装しなければならず、消費電力や部材コストの増加が課題となっていた。これに対してDIGI 120Gは、主要な機能を1チップに集積しており、わずかなチップ数で各種ラインカードを実現できる。しかも、共通のハードウェアとソフトウェアを用いて、最低でも10種類の製品設計に展開することが可能である。「他のチップを使った場合に比べて、消費電力と部材コストを半分以下にすることが可能」と同社は主張する。
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