ARMの次期CEOが抱える10の課題(後編):ビジネスニュース オピニオン(2/3 ページ)
ARMの新CEOが直面するであろう10個の課題を挙げる後編。中国の産業機器市場でどう勝負すればよいのか、投資や買収の加速といった点にフォーカスする。
【8】Imaginationとは“良好な”競争な関係を保つ
英国には現在、プロセッサアーキテクチャのIPライセンスビジネスを行う大手企業が2社ある。プロセッサコアで首位を走るARMと、GPUでトップに立つImagination Technologiesである。ARMは、GPUのMaliシリーズも堅調だ。一方のImaginationは、2012年11月に CPUコアの大手ベンダーである米国のMIPS Technologiesの買収を発表、MIPSの実績ある命令セットをベースとしたプロセッサコアの拡充を目指している。
Segars氏にとって現時点で考えられる最悪の事態は、Imaginationとデスマッチを繰り広げることだ。同胞企業やライバル企業を倒すことは、たとえそれが可能だとしても、エネルギーを浪費し、顧客との関係を悪化させ、独占企業と呼ばれるリスクを負うことになりかねない。
ARMとImaginationには、友好的なライバル関係を築いてきた歴史があり、ImaginationがMIPSを買収しても、両社の協力的関係は変わっていない。
多くのライセンシーは、プロセッサコアとグラフィックスコアを選ぶに当たって、MIPSとARM、PowerVRとMaliという選択肢がある状況を好意的に受けとめている。強力なライバル関係にある両社が互いに鍛え、公正な価格で製品を提供することが、両社にとって良好な関係を保つ秘訣(ひけつ)となるだろう。
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【9】エコシステムをさらに成長させる
ARMが過去数年間にわたり成功を収める上で重要な鍵となったのが、ARMのエコシステムだ。同社は現在、設計支援メーカーや半導体チップメーカー、ソフトウェアメーカー、トレーニングメーカーなど、1000社を上回るパートナー企業と協業している。
このエコシステムに関しては、Segars氏が何らかの特別な措置を講じる必要はない。ただし、このエコシステムを維持していくことは、最優先の事項になる。エコシステムの健全性と安定性を維持することこそが、これまでと同様、今後のARMには不可欠だ。多くのパートナー企業の運命もこのエコシステムにかかっていることから、ARMは、さらなる成功に向けて着実に前進していく必要がある。
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