TSMC、2013年4月の売上高が急増:ビジネスニュース 企業動向
TSMCの売上高が、予想を上回る勢いで成長しているようだ。モバイル向けの28nmプロセスCMOSチップの製造で、他を寄せ付けない圧倒的な優位性を維持している同社。今後も成長が続く見込みだ。
TSMCは、2013年の売上高が前年比25%増で推移していることを明らかにした。2013年後半も大幅な成長が予想されるという。
2013年4月のTSMCの売上高は、500億7000万ニュー台湾ドル(約16億9000万米ドル)で、2013年3月と比べて13.5%増加した。2012年4月に比べると、23.5%の増加となる。
2013年1〜4月の売上高は、前年同期比25.1%増となる1828億3000万ニュー台湾ドル(約61億6000万米ドル)だった。
TSMCのチェアマン兼CEO(最高経営責任者)を務めるMorris Chang氏は、最近行ったアナリストとのカンファレンスコールで、「2013年は、当初予測の10%をはるかに上回る成長が期待される」と述べた。Chang氏はトップダウン的視点で、次のような予測も示している。「2013年の世界GDP(国内総生産)は、約2.6%の成長を維持するとみられる。半導体市場は約4%成長する見通しだ。ファブレス業界とファウンドリ業界の成長率は、それぞれ9%と10%と予想される」(Chang氏)。
TSMCが現在の成功を築いた主な要因は、モバイル機器向けの28nmプロセスCMOSチップの製造で、圧倒的な優位性を獲得していることにある。Chang氏はカンファレンスコールの中で、「2013年は、28nmチップの生産量、売上高ともに、2012年の3倍に増やす計画だ。2013年第3四半期には、高誘電率膜/金属ゲート(HKMG:High-k/Metal Gate)を採用した28nmチップの出荷を開始する。HKMGチップの出荷量は、酸窒化物ゲートを採用した28nmチップを上回る見込みだ」と述べている。
一方、TSMCとライバル関係にある台湾のUMC(United Microelectronics Corporation)は、横ばい状態が続いている。2013年4月までの売上高は、前年同期比で3.9%増となる102億8000万ニュー台湾ドル(約3億5000万米ドル)だったが、2013年第1四半期の設備稼働率は78%で、2012年第4四半期の80%から減少している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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