IoTの潜在市場は無限大、今後の半導体業界のけん引役に:ビジネスニュース 市場予測
モノのインターネット(IoT)の市場規模は、計り知れない。インターネットに接続できる機器なら、あらゆるモノが対象になるからだ。Semico Researchは、今後はIoT市場が半導体業界のけん引役になるとみている。
消費者が絶対に手に入れたくなるような、次なる革新的製品は何だろうか。これを予測するのは簡単なことではない。
タブレット端末やスマートフォンに匹敵する、極めて魅力的な製品が登場する可能性は常にあるものの、今のところそのような製品が出てくる兆しはないようだ。ただし、最近大いに注目を集めているモノのインターネット(IoT:Internet of Things)市場には、膨大なチャンスが広がっているようだ。同市場の成長をけん引すると考えられるさまざまな要素の一部を、以下に挙げてみよう。
- 電気使用量を制御することにより、エネルギー消費量の最小化を実現
- 住宅および家電製品、業務用機器の遠隔モニタリング(故障を未然に防止)
- 住宅環境やオフィス環境、産業環境に向けたセキュリティ対応
- 企業や小売店の在庫管理、家庭用冷蔵庫内の食料品の管理
- 住宅内や車内、遠隔地からのエンターテインメントシステムへのアクセスを実現
これらは、あらゆるモノをネットワークで接続することでもたらされるメリットの、ほんの一部にすぎない。その中でも特に注目すべきなのは、「電気料金の値上がりを受けて、電力消費量の監視/制御に対する要望が高まっている」という点だ。電力消費量のモニタリングは、今後のIoT市場の拡大をけん引する最も重要な要素となるだろう。
スマートグリッドの普及に伴って接続性(コネクティビティ)が向上することにより、ヘルスケアやスマートシティ、資産管理、センサー搭載家電などのさまざまな分野において、次の大きな波となる新製品の開発が期待されている。
そこで、Semico Researchは今回、特に一般住宅向け用途に焦点を当て、IoT関連製品の可能性を数値化した。以下に、同社のリポートをまとめる。
一般住宅向けIoT対応製品は、2023年には227億台に
Semico Researchは、IoTが住宅市場に及ぼす影響について、徹底的な調査を実施した。現在、全世界の世帯数は、8億8600万世帯に上る。地域別でみると、最も世帯数が多いのは中国で、その割合は全世帯総数の45%に達する。中国では今後10年の間に、中流階級に分類される世帯数が増加し、拡大の一途をたどる成長市場になる見込みだ。また、中国に続き2番目に世帯数が多い地域は欧州で、全体の35%を占める。第3位の米国は14%、第4位の日本はわずか6%未満である。
では、一体どのような製品が、IoT市場に参入可能なのだろうか。
答えは、“インターネットに接続できるモノなら、全て”である。IoTに使用できそうな製品のうち、一般住宅向けの製品だけでも70種類に達した。以下は、こうした製品の一部の例である。
さらに次の段階では、そうした70種類の家電製品について分析し、10年後の2023年における各製品(IoTに対応していると仮定)の地域別の普及率を予測した。その結果、大半の製品の普及率が2〜10%になるとの結論に至った。
IoT向けの製品を既に手掛けているメーカーが存在することから、この2〜10%という普及率は、控えめな数字ながらも妥当な予測結果だといえるだろう。
既に商品化されているものに、Lodiが販売を手掛けているガレージドア用開閉装置がある。スマートフォンやタブレット端末で監視や制御ができるという。
普及率2〜10%という予測値に基づいた分析の結果、全世界の一般住宅向けIoT対応製品は、2023年には227億台に達する見込みだ。これに伴い、IoT関連製品のTAM(Total Available Market)ベースの半導体チップ出荷数量は、2040億個に達すると予測される。一方、2012年における世界半導体チップ出荷数量は、6730億個だった。
製品価格の低下や標準規格の普及により、IoT対応製品の導入は今後さらに進んでいくだろう。
IoT向け製品が、住宅用だけでなく商業用途や工業用途にも展開されれば、半導体メーカーは今後10年間、フル稼働の状態が続くと予測される。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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