全てのスマホに11ac、全てのモノにWi-Fi&Bluetooth Smartを――ブロードコム製品戦略:ビジネスニュース 企業動向
ブロードコムは2013年6月7日、スマホをはじめタブレット端末、民生機器に向けた製品に関する説明会を開催した。低価格スマホ向けのIEEE802.11ac対応チップとともに、IoT(モノのインターネット)向けのWi-Fiチップ、Bluetooth Smartチップを発表した。
ブロードコムは、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を実現する通信手段として、Wi-FiとBluetooth Smartの2つの技術でカバーするという。ワイヤレスコネクティビティコンボエンベデッドワイヤレスマーケティングディレクターを務めるJeff Baer氏は、「将来、全てのモノがワイヤレスでつながる“Internet of Everything”、“IoE”の時代が到来する。その時に、組み込み機器のワイヤレス接続を実現するのが、Wi-FiとBluetooth Smartの2つの技術になる」とする。
Wi-Fi&Bluetooth Smartで“Internet of Everything”を実現
その理由としてBaer氏は、「重要になるのが、多くのデバイスを結ぶエコシステムであり、その根幹はスマートフォン、タブレット端末になる。単に機器と機器とつなぐだけなら、他の無線や有線でも良い。しかし、いろいろな機器がつながれば、手元にあるスマホ、タブレット端末でいろいろな監視や制御をしたくなるのが自然だ」とし、今後、スマホ、タブレット端末に標準搭載される2つの無線技術でIoT、IoEを実現しようというのがブロードコムの狙いだ。
ブロードコムが今回、発表した製品は、いずれもIoEを実現するため、より幅広い機器に搭載できる無線チップとなった。
エントリーモデルスマホに対応する11ac対応チップ
IoEの中心となるスマホ、タブレット端末向けには、ブロードコムが「5G Wi-Fi」と位置付ける最新無線LAN規格「IEEE802.11ac」対応無線チップとして、パワーアンプ(PA)、ローノイズアンプ(LNA)といったRF部を混載したワンチップ製品「BCM4339」(スマホ向け)と「BCM43162」(タブレット端末向け)を製品化した。従来製品では外付けだったRF部を集積したことで、部品コストを低減できる製品であり、低価格帯のスマホ、タブレットにも搭載できるようになるという。
モバイル&ワイヤレスグループのバイスプレジデントを務めるラフール・パテル氏は、「スマホなど手元のデバイスで高品位のビデオ動画を見たいというニーズは高まっている。そのニーズに応えるのが、従来のIEEE802.11nよりもスループットが3倍速く、帯域も広い11acだ。ここ1年間、11ac対応のチップを展開してきたが、順調に採用が増えてきた。2013〜2014年は、11acが11nに代わりWi-Fiの主流になる。新製品はこれまで、ミドルエンド、ハイエンドの端末に限られた11acを、エントリーモデルまで広げるものだ」と述べる。
同社では、11ac対応チップとして、テレビやセットトップボックスなど据え置き機器向けの「BCM4350」など3製品もリリースし、大型ディスプレイとモバイル機器をシームレスにリンクさせる製品ソリューションも用意した。
IoT用途には“WICED”を提案へ
スマホ、タブレット端末につながる、あらゆるモノに対しての製品も発表した。Baer氏は、「IoT、IoEを実現すべく、我々は1つのアーキテクチャを作った。それが『WICED』。Wireless Internet Connectivity for Embedded Devicesの略であり、組み込み機器にワイヤレスインターネット接続性を容易に搭載できるようにするアーキテクチャだ」とする。今回、WICEDに基づいたWi-Fi SoC「BCM4390」とBluetooth Smart SoC「BCM20732」の2製品をサンプル出荷を開始した。いずれも、バッテリー駆動機器を意識した低消費電力設計となっている。同時に、ソフトウェア開発を容易にするSDKも用意されるなど、手軽にワイヤレス接続機能を組み込めるSoCとなっている。
ブロードコムでは、WICEDアーキテクチャに基づいたSoCを、家電、ヘルスケア/スポーツ関連機器、セキュリティシステム、車載情報機器などへ展開していく方針。
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