「802.11ac」の認定プログラムは6月リリース、Wi-Fi Allianceが都内で会見:無線通信技術 Wi-Fi
Wi-Fi Allianceが会見し、最新無線LAN規格「802.11ac」の認定プログラムを6月にリリースすると明かした。マルチギガビットの高速転送を実現する「WiGig」についても2014年初頭に認定プログラムを策定する。
Wi-Fi Allianceは2013年4月15日、都内で記者説明会を開催し無線LAN規格の最新版「IEEE802.11ac」の認証プログラムを2013年6月からリリースするとの方針を示した。60GHz帯の無線周波数を使う「WiGig」の認証プログラムも2014年初頭に策定する予定を明かした。
IEEE802.11acは、Wi-Fiとして初の1Gビット/秒を超える最大転送速度1.3Gビット/秒を実現する最新Wi-Fi規格である。現在、IEEEで最終的な規格策定段階にあるが、説明会に登壇した同AllianceのMarketing Directorを務めるKelly Davis-Felner氏は「規格策定完了前に認証プログラムをリリースすることになる。IEEEよりも市場が先に行くことはよくあること」と説明した。
Wi-Fi AllianceとWiGig Allianceは統合へ
IEEE802.11acの次の無線LAN高速化技術としては「WiGig」を据える。Wi-Fi Allianceは、このほど、WiGigの規格策定を手掛ける業界団体「WiGig Alliance」を2013年末までに統合することを発表している。Felner氏は「統合後は、WiGigの技術開発、認定プログラム策定に関する活動は全てWi-Fi Allianceの中に集約される。個人的には、2013年末よりももう少し早く統合できると思っている」とした。
WiGigは、60GHz帯を使用し、マルチギガビットの転送速度と低遅延時間を実現する無線LAN技術である。非圧縮でHD動画の転送が行えるほか、低遅延の特徴によりゲームコンテンツの転送も行え「幅広いデバイスをケーブルなしで接続できる技術」(同氏)と位置づけている。
このほか、Wi-Fi Allianceの最近の活動報告としてモバイル機器などの視聴コンテンツをテレビなどに転送する規格「Miracast」の認定状況も公開した。4月5日現在で、526製品にMiracastが採用され、うち76%はテレビでの採用だったとした。
MiracastとWiGigは、主に映像コンテンツを無線転送する点で似通い両技術の補完性や差異化について注目されるが「まだハッキリとしていることはない。ただディスプレイ転送技術として60GHz無線技術が残るだろう」と話した。
なお、Felner氏は調査会社ABI Reserchの資料などを引用して、Wi-FiとWiGigの普及予測も紹介した。それによると、2016年にはWi-Fiを利用する世帯数は全世界合計で8億世帯近くとなる見込み。Wi-Fi対応機器の出荷数は2013年で15億台を見込み、累計出荷台数も現在の54億台から今後3年間で74億台にまで増加するとした。周波数帯別Wi-Fi&WiGigチップセット出荷予測としても「今後、802.11nと802.11acのデュアルバンド対応チップセットが中心となり、さらにその後、WiGigが加わったトリプルバンド対応チップセットが新しい市場を生み出していく」と話した。
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