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「HaswellはIvy Bridgeよりもわずかに良くなっただけ」、Intelの新プロセッサは賛否両論プロセッサ/マイコン(2/2 ページ)

Intelが発表したばかりの第4世代Coreプロセッサ「Haswell」。専門家からは、「幅広い分野に適用できる革新的なプロセッサ」という声がある一方で、「第3世代Coreプロセッサである『Ivy Bridge』よりも少し性能が良いだけ」といった見方もあり、評価はまちまちのようだ。

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 Ultrabookは、市場に旋風を巻き起こすことはできなかった。その要因としては、価格が比較的高かったことや、消費者の好みがタブレット端末に移行したことなどが挙げられる。Haswellが、市場ダイナミクスを変えられるかどうかは分からない。

 米国の市場調査会社であるThe Linley Groupで主席アナリストを務めるLinley Gwennap氏は、「Haswellのグラフィックス性能は素晴らしい。しかし、Haswellは価格と消費電力を大幅に下げるチップではない。価格と消費電力は、Ultrabookやコンバーチブル型タブレット端末、Windows 8搭載タブレット端末が伸び悩む要因となっているものだ」と分析する。「COMPUTEXの会場では、数多くの新しいフォームファクタが展示されているものの、それらのシステム価格についてはあまり話したがらない説明員が多かった」(Gwennap氏)。


Haswellのグラフィックス性能は、第3世代のCoreプロセッサに比べて最大で2倍を実現している(クリックで拡大)

 The Linley Groupが発行するMicroprocessor Report誌でシニアアナリストを務めるMike Demler氏は、「Haswellの性能は、Ivy Bridgeと比べてそれほど大きく向上したわけではない。しかしIntelは、デスクトップ向けHaswellの価格をわずかに値上げしたようだ」と指摘する。

 さらに同氏は、「Intelは、『Iris Pro Graphics』のような最新機能を搭載したモバイルプロセッサに関しては、Ivy Bridgeチップよりもかなり高い価格に設定している。Haswellは、技術的な面では非常に優れていて有望だが、価格が高いという点が今後はネックになるだろう」と付け加えた。

Haswellは「技術の結集による優れた製品」

 この他にも2人のアナリストが、Haswellの性能を称賛している。しかし両者とも、「Intelが今後、タブレット端末市場やスマートフォン市場における地位を確保していくためには、『Bay Trail』や『Merrifield』など、22nmプロセスを用いたAtomベースのSoCに依存しなければならないだろう」と指摘する。

 同じく市場調査会社であるMoor Insights & Strategyで主席アナリストを務めるPatrick Moorhead氏は、「PC向けプラットフォームが、タブレット端末の備える利便性とバッテリ性能とを実現できれば、新型の10インチタブレット端末よりも新型のPCを選ぶユーザーが増えるだろう。Haswell、Windows 8.1、新しいフォームファクタの3つを組み合わせた製品が登場すれば、高い市場シェアを勝ち取れるだろう」とみている。

 また、PC関連技術の記事やホワイトペーパーの発信を手掛けるReal World TechnologiesのDavid Kanter氏は、「Haswellは、技術的に極めて優れた製品だ。グラフィックスやオンパッケージのeDRAM、電圧レギュレータ、トランザクションメモリなど、Haswellは驚くほどの革新性を実現している」と述べる。

 Kanter氏は、「ミッドレンジとハイエンドのPC市場ではHaswellの売れ行きは好調となるだろう。しかし、問題は、より価格やコストに敏感な分野だ。こうした分野では、AtomベースのBay TrailやMerrifieldの登場が待たれる」と付け加えた。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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