半導体業界が盛り上がる前兆!? EDA販売が好調:ビジネスニュース 業界動向
EDA業界が好調だ。2013年第1四半期の世界販売額は、前年同期比8.1%増と伸長した。半導体業界の先行指標とされるEDAベンダーのサービス売上高も上昇した。
米EDA Consortium(EDAC)が公開した2013年第1四半期(1〜3月)における業界全体の売り上げ報告は、EDAベンダーにとって非常にうれしいニュースとなった。
前年同期比8.1%増
EDA業界における2013年第1四半期の販売額は前年同期比8.1%増となる16億7000万米ドルに達した。2012年第4四半期と比べて減収となったが、この結果は想定内であり、4四半期移動平均は7%増加した。直近4四半期の販売総額は66億6000万米ドルを記録した。
2013年第1四半期のEDA業界の販売額を製品分野別に見ると、設計・検証(EDACではCAEと呼ぶ)分野の販売額は前年比4.7%増の5億9910万米ドルとなり、4四半期移動平均は9%増加した。IC物理設計・検証分野の販売額は3.1%減の3億4010万米ドルとなり、4四半期移動平均も1%の減少となった。PCB/MCM(プリント回路基板とマルチチップ・モジュール)分野販売額は6.7%増の1億5720万米ドルとなり、4四半期移動平均は8%増加した。半導体IP分野の販売額は20.2%増の4億7030万米ドルに達し、4四半期移動平均は11.2%増となった。そして、サービス分野の売り上げは23.8%増の1億190万米ドルとなり、4四半期移動平均は3.5%増加した。
“半導体業界の先行指標”「サービス分野」も成長
サービス分野の成長は大抵の場合、設計作業の需要が高まり、半導体企業が自社の社員で賄える範囲を超過したことを意味する。これは、半導体市場が上向いていることを示す先行指標である。つまり、長期的な目で見れば、企業は最終的には社員を増やし、ツールを追加する必要が生じるため、EDA業界の継続的な進歩につながると期待される。
EDAの年間市場規模は過去10年間で、42億米ドルから67億米ドルにまで成長した。これは、米国における過去10年間のGDP成長率を上回る数字だ。ここである疑問が生じる。EDA業界の投資額が少ないのは、なぜだろうか。年間市場規模の統計データをもう少し掘り下げてみると、過去10年間の売り上げ成長のほとんどがIP分野から発生していることが分かる。近い将来、IP部門は製品分野別の売り上げ構成で首位に踊り出るかもしれない。
だが日本市場は、緩やかな減少傾向が続く
2013年第1四半期の報告において、地域市場別の売り上げで最大の減少幅を記録したのは、今回もまた日本市場であった。EDACの会長を務めるWalden C. Rhines氏は「売り上げ報告の数字から、日本市場の成長は止まり、むしろ1%と穏やかな減少傾向が続いていることが分かる。日本市場の再編は急ピッチで進んでいる。多くの企業がファブライトモデルへの移行途上にある。変化は現在進行形だが、事態の打開にはもうしばらく時間がかかりそうだ」と述べた。
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