MediaTek、スマホ向けプロセッサで「真のオクタコア」を主張:プロセッサ/マイコン
MediaTekは、今後発売予定の、CPUコアを8個搭載するオクタコアプロセッサを「真のオクタコア」として売り込んでいる。Samsung Electronicsが「Galaxy S4」に搭載するオクタコアプロセッサと違って、8個のコアが同時に動作できるという。
MediaTekは今後発売予定のCPUコアを8個搭載するオクタコアプロセッサを「真のオクタコア(True Octa)」として売り込んでいる。なぜなら、このプロセッサでは、大小のコアを組み合わせた「big.LITTLE処理」のように動作するコア数に制限がなく、8個のコアが同時に動作するからだという。
2012年11月に、MediaTekがZTEのスマートフォン向けにARMベースのプロセッサ「MT6599」の開発に取り組んでいるという報道が伝えられて以降、同社がオクタコアプロセッサを発売することは予想されていた。MediaTekは現在、アプリケーションプロセッサで8個のコア全てを同時動作できることの利点を褒めたたえる映像をYouTubeで公開している。
同社は映像の中で、「当社は、モバイルSoC向けに真のオクタコア技術を初めて導入した」と主張しているが、製品の詳細については全く触れていない。
Samsung Electronicsは、「クラスタの移行(cluster migration)」という手法を用いたプロセッサシリーズ「Exynos 5 Octa」を発売済みだ。この手法では、4個のCortex-A15コアを4個のCortex-A7コアにつなげているが、同時に動作できるのは最大で4個のコアだけだ。Samsungのスマートフォン「Galaxy S4」のいくつかの機種はExynos 5 Octaを搭載するが、同社がこのプロセッサを「オクタコア」と呼ぶべきか、「クアッドコア」と呼ぶべきかについて論争が起きている。
Qualcomm幹部は、コアを単に増やすだけでは「愚かだ」と酷評
Qualcommのアプリケーションプロセッサシリーズ「Snapdragon 800」は、同社のKraitコアをベースにしたクアッドコア・プロセッサである。Qualcommのシニア・バイス・プレジデントであるAnand Chandrasekher氏は、2013年7月30日に開催されたラウンドテーブルの中で、単にコアを増やしただけのアプリケーションプロセッサ戦略を「愚か」と酷評している。
動作周波数は2GHz!?
MediaTekのWebサイトでは、オクタコアの型番やアーキテクチャ、コアに関する目立った言及はない。Gizchinaの報道では、今後近い時期に発売される予定のMT6592が、“2GHzのクロック周波数に対応する”と伝えられている。このプロセッサは、オクタコアのCortex-A7をベースとし、面積やコストの面で、大小のコアを組み合わせたプロセッサに勝る利点を備えると報道されている。MediaTekが大小のコアを採用し、それらを共通のタスク・スケジューリング方式で作動させているのか、あるいは、8個の同一コアを搭載しているのかは、いまだ明らかになっていない。
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