NECが通信速度を“1秒以内”に推定できる技術を開発:テスト/計測
NECは、通信ネットワークの通信速度を瞬時に推定できる技術を開発したと発表した。新技術を用いることで、IP電話サービスの品質向上などの効果が期待できるという。
NECは2013年8月13日、インターネットや、3G/LTEといったモバイルネットワークの通信速度を瞬時に推定できる技術を開発したと発表した。
インターネットやモバイルネットワークの通信の安定性を確保するには、通信速度に合わせて、通信量を調整するといった制御が有効だとされる。しかし、一般的な通信速度の測定方法では、大容量のデータを転送する必要があり、測定に大きな通信負荷と長い時間がかかるといった課題があった。
今回、NECが開発した通信速度推定技術は、わずかなデータ量の転送で、通信速度を1秒以内に推定できるという。
精度は80%以上
仕組みは、パケットサイズが異なる複数のパケットを、サイズ順に等間隔で送信し、受信側で各パケットの受信間隔が広がり始める位置を調べることで、通信速度を推定するというもの。NECでは、モバイルネットワークを使った評価実験により、1秒以内に80%を超える精度で通信速度を推定できることを実証したという。この推定にかかる時間は、一般的なデータ転送による測定方法の1/40に相当し「最新の通信速度をサービス提供の直前に推定でき、コンテンツ配信制御のパラメータ設定などが可能になる」(NEC)とする。
通信負荷は従来の1/180
推定に用いるパケットサイズは数十Kバイト。一般的な測定方法と比較して、通信負荷を1/180に抑え「ネットワークにほとんど負荷をかけないため、通信速度を繰り返し推定できる」(NEC)。
NECでは開発した技術を用いることで、「通信事業者は、端末の通信速度の変動を低負荷でモニタリングすることが可能となり、IP電話サービスなどの品質向上につながる。映像配信やWebサービスを提供するコンテンツ配信事業者は、映像配信の画質を通信速度の変動に追随させ、途切れのない安定した動画の提供や、通信速度に合わせて配信するデータのサイズを最適化することで、応答性能が高いWebサービスの提供が可能になる」としている。
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