曲がる有機ELディスプレイ、市場は2014年に急成長へ:ビジネスニュース 業界動向
テレビの大画面化が進む中、薄くて軽量のディスプレイを実現できるフレキシブルな有機ELディスプレイに関心が集まっている。同市場は2014年に大きく成長し、2015年以降もさらなる伸びが続くとみられている。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、フレキシブル有機ELディスプレイ市場は、2013年の2190万米ドル規模から、2014年には9480万米ドル規模に拡大する見込みだという。そしてこれを幕開けに、2015年以降はさらなる成長が続くと期待されている。
ただし、完全に折り畳んだり巻いたりできるフレキシブルディスプレイの実現に至るまでには、材料や製造プロセスなどのさらなる開発を待つ必要がある。
現在のフレキシブルディスプレイ市場は、まだ規模が小さいが、有機ELディスプレイはこの中で大きなシェアを獲得している。しかし今後は、フレキシブル液晶ディスプレイや電子ペーパーディスプレイとの競争が増していくだろう。
IHS iSuppliでモバイル市場および新興ディスプレイ市場の調査を手掛けるVinita Jakhanwal氏は、プレスリリースの中で、「Samsung Displayは、2013年1月に開催された国際家電ショー『2013 International CES』において、折り曲げ可能な有機ELディスプレイ『Youm』を発表した。それ以来、フレキシブルディスプレイに関する関心は高まっている。Samsung Displayは、同社初となる5インチ型のフレキシブル有機ELディスプレイの出荷を、2013年後半に開始する予定だとしている」と述べている。
このディスプレイは、完全に折り曲げが可能なわけではないが、ガラス基板を使用したディスプレイと比べて、メリットが大きいと期待されている。ガラス基板を使わないことで、ディスプレイの軽量化と強化を実現でき、破損もしにくくなる。
IHS iSuppliによると、自由に折り曲げることが可能な有機ELディスプレイの登場は、2016年以降になるとみている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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