BroadcomがARMベースの64ビットSoC投入へ、MIPSからシフト:プロセッサ/マイコン(1/2 ページ)
Broadcomは、MIPSアーキテクチャからARMアーキテクチャにシフトしていくようだ。同社の競合先も同じような計画を発表している。Broadcomは、まずは16nm FinFETプロセスを用いてカスタムコアを製造するという。
Broadcomが、ARMベースの64ビットSoC(System on Chip)市場に参入する。サーバや通信インフラ向けとなるもので、まずは16nm FinFETプロセスを用いてカスタムコアを製造する計画だ。
このニュースを通じて、Broadcomは多岐にわたる製品でMIPSアーキテクチャからARMアーキテクチャへとシフトする計画を示唆した。Broadcomの競合メーカーも、同様の傾向を示している。
Linley Groupの主席アナリストであるLinley Gwennap氏は、EE Timesとのメール取材の中で、「ARMとx86が勝ち抜くのは非常に明白だ」と述べている。
Gwennap氏は、「通信用プロセッサのトップベンダー8社のうち7社が、ARMコアを採用している。ARMベースのSoCの製造が開始されれば、MIPSプロセッサやPowerPCは徐々に減っていくだろう」と述べ、「ARMの新しい64ビットアーキテクチャが、ARMの追い風になる」と付け加えた。
現在の通信用プロセッサ市場でいまだに優位に立つのはPowerPCで、その後にx86とMIPSが続く。Gwennap氏は、ARMは同市場への足掛かりをつかんだだけで、シェアのランキングを上げるには5〜10年はかかるとみている。とはいえ、Broadcomをはじめ、AMD、Freescale Semiconductor、Cavium、LSIといった半導体メーカーが、サーバ/通信機器向けICにおいて、こぞってARMへシフトしようとしているのは確かである。
Broadcomは、命令セットアーキテクチャ「ARMv8」をベースにしたクアッドイシュー、クアッドスレッディング、アウト・オブ・オーダー実行機能を備えたカスタムプロセッサを設計中だ。Gwennap氏は、このプロセッサがシングルおよびマルチコアのパフォーマンスの「レベルを引き上げる」と予測している。このコアは、サーバ、通信、ストレージ、セキュリティシステム向けのSoCに電力を供給する。16nm FinFETプロセスを用いて設計されている点を踏まえると、最初の製品が出荷されるのは2014年後半以降になるとみられる。
一方でBroadcomは、複数の通信キャリアの他、ARMアーキテクチャを採用したCPUコア向けに最適化したLinux環境を開発する非営利組織Linaro、そしてEuropean Telecommunications Standards Institute(ETSI:欧州電気通信標準化機構)と協業し、ARMやその他のアーキテクチャをサポートするネットワーク仮想化に向けたソフトウェア環境の構築を支援している。このようなソフトウェアを用いることにより、Broadcomのユーザーは既存のMIPSベースの「XLP」プロセッサからARMベースのSoCに移行できるようになるという。
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