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てんかん治療が大きく進展? 脳インプラント機器がまもなく製品化かセンシング技術(1/2 ページ)

米メーカーが10年以上かけて開発してきた、てんかん治療向け脳インプラント機器の製品化が間近なようだ。脳波を読み取り、てんかん発作を防ぐためのもので、規制機関の認可がまもなく下りるという。

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 14年前にNeuroPaceのSteve Archer氏が開発に着手した製品が、市場に投入される日が近づいているようだ。

 その製品「RNS」は、脳波からてんかん発作の前兆現象を読み取り、発作を防ぐための治療時期を自発的に割り出すインプラント製品である。RNSは社員90人以下の企業によって開発された。エレクトロニクス、メカニカル、ソフトウェアエンジニアリングを担当する研究開発チームは総勢約30人にすぎないという。

 NeuroPaceのマネージャらは、RNSの開発プロジェクトが規制機関の承認を得るまでに長い時間がかかると踏んで、あえて従業員数を増やさず、少数精鋭の体制を取った。ちなみに同プロジェクトは、これまでに2億1500万米ドルの資金を集めている。Archer氏は、「われわれは、『FDA(食品医薬品局:Food and Drug Administration)の認可が下りるのは2年後だ』というジョークを、この10年間常に言い続けてきた」と述べる。

 FDAは現在、NeuroPaceが近日中に認可を得るとしているが、具体的な期日については何も明らかにしていない。

 Archer氏は、「世の中には、大金を稼げるような魅力的なエンジニアリング分野が数多くある。だが、医療分野の規制は厳しいので、設計自体は数週間で完了しても、認可を得て市場に投入できるまでには数年かかる場合が多い」と説明する。

 同氏は、「自分が設計した製品が患者の体内に埋め込まれ、治療に役立っていると思うと、感慨深いものがある」と語る。臨床試験としてRNSを使用している患者は256人に上る。


RNSを埋め込んだ頭骨の標本を持つArcher氏

 Archer氏らの取り組みは、脳科学の発展にもつながると期待されている。例えばNeuroPaceは、てんかん発作が起こる前に、患者の頭の中で何十万もの現象が起きている可能性があることを発見した。「てんかん患者の脳波の動きを、われわれのレベルまで記録している機関は他にない。当社は、そうした記録から成る世界最大のライブラリを備えている。これは、あらゆる分野の研究に役立つ並み外れた資産になるだろう」(Archer氏)。脳へのインプラント治療を通じて、幅広い神経疾患に対する一連の治療体系が生み出される可能性もあるという。

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