てんかん治療が大きく進展? 脳インプラント機器がまもなく製品化か:センシング技術(2/2 ページ)
米メーカーが10年以上かけて開発してきた、てんかん治療向け脳インプラント機器の製品化が間近なようだ。脳波を読み取り、てんかん発作を防ぐためのもので、規制機関の認可がまもなく下りるという。
一般的にみて、NeuroPaceの取り組みは、世界中で行われている少数の神経移植のアプローチから最もかけ離れたものである。Medtronicの技術フェローであるTim Denison氏は、「この分野におけるセンシングやアルゴリズムの開発はまだ始まったばかりで、あらゆるデバイスは臨床試験を行う段階にある」と述べた。
NeuroPaceのDenison氏は、Medtronicの神経刺激装置「Activa PC+S」向けのチップの開発に取り組んできた。Activa PC+Sは2013年初頭に、1人目の臨床試験の患者に埋め込まれた。今後2〜4年間で、世界中の約20の研究チームが、臨床試験の一環として200人の患者にActiva PC+Sを埋め込む計画だ。
もちろん、全ての人が、脳へのインプラント治療分野に大きな期待を寄せているわけではない。
インプラント関連事業の投資家であり、除細動器の開発を手掛けたこともあるMir Imran氏は、「私は、脳深部へのインプラント治療に対しては懐疑的な見方をしている。ミリアンペアレベルの刺激でも脳はダメージを受けるからだ。こうしたダメージが、認識機能障害や記憶障害などを引き起こす可能性はある」と述べている。一方で同氏は、「もちろん、投薬治療では効果がない患者は、インプラント治療でいくらかの恩恵を受けることができるかもしれない」と付け加えた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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