有機ELディスプレイ、“フレキシブル”に活路見いだす:ディスプレイ技術 有機EL(2/2 ページ)
フレキシブルな有機ELディスプレイの開発が進んでいる。市場も2014年以降に大きく成長すると予想されていて、2016年には自由に折り曲げられるものが登場するとの予測もある。
NHK技術研究所も、フレキシブル有機ELディスプレイを開発している。「NHK技研公開2013」(2013年5月30日〜6月2日)では、8インチのフレキシブル有機ELディスプレイを展示した。解像度は640×480画素(VGA)である。担当者は、「このディスプレイをそのまま80インチくらいに引き伸ばせば、スーパーハイビジョン(8K)のディスプレイを実現できる」と述べている(関連記事:80インチ超テレビの道を開くフレキシブル有機ELディスプレイ、NHK技研が公開)。
さらに、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、フレキシブルなだけでなく、伸縮も可能な有機ELディスプレイを試作した。
この他、Cambrios Technologiesが開発している「ClearOhm」のように、ITO(酸化インジウム・スズ)を用いない透明電極用の材料が登場していることも、フレキシブル有機ELディスプレイの開発には重要になる。透明電極にはITOが用いられるのが一般的だが、ITOは希少金属を使用しているためにコストが高く、もろいので、フレキシブルディスプレイに適用するには障害が多い。だが、ClearOhmはITOを用いていないので、低コストで強度のある透明電極を実現でき、フレキシブルディスプレイにも適用しやすくなっている。
数年前までは、“液晶ディスプレイを置き換える”べく開発が進んでいた有機ELディスプレイ。だが、バックライトがない分フレキシブルにしやすいという利点を生かし、まずはフレキシブルディスプレイ市場で普及させることが、最も現実的な道になりそうだ。
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