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百戦錬磨のエンジニアに聞く、“コスト意識をどう身に付ける?”いまどきエンジニアの育て方 ―番外編―(1/3 ページ)

開発コストを下げるには、設計や部品調達など、物理的な面で工夫するだけでは足りない。重要なのは、普段からどれだけコスト/原価を意識しているかだ。X社の開発部長であるA氏は、現場のエンジニアにコストを意識させるべく、面白い取り組みを行っている。

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百戦錬磨のエンジニアが教える、「開発コストを減らす4つのコツ」はこちらから

“コストを意識すること”は難しくなっている

 従来の半分の開発コストと開発期間で、自社の主力製品を作り上げたAさんのチーム。チームのメンバーは、普段から“コスト”を意識しているのだろうか? Aさんは、「現在は、エンジニアがコスト意識を持つことが難しくなっている」と語る。

 コスト意識については、筆者にも覚えがある。筆者は、入社1年目の駆け出しエンジニアだった時に、某通信会社の研究所から特注した製品の設計に関わった。使った部品はほとんどが標準部品だったのだが、思うように性能が出なくてかなり手こずった。残業や休日出勤も多く、納期がクリスマス(12月25日)であったが、イブの夜も会社で過ごした。

 通常、特注品は受注価格が決まっていて、この価格で利益が出るように開発工数をやりくりしなければならない。当時の上司は1年目の自分に、勉強も兼ねて設計から全て任せてくれていて、自分にとってはそれがうれしく、設計や調整にいくらでも時間をかけてよいものだと思っていた。「お前、今日までどんだけ工数がかかっているのか、分かっているのか?」と怒られ、若かった筆者は「設計工数は上司が決めたことだ。そもそも、なぜ技術屋が工数など考えなければいけないんだ」と逆ギレした。当時の自分は、コストに関しては本当に無頓着だったのだ。

 さて話を戻そう。エンジニアがコスト意識を持てなくなっていることについて、Aさんなりの見解はこうだ。

  • 開発費の削減、開発期間の短縮の要求が厳しくなっていて、過去の設計資産の流用が多く、ゼロから設計する機会が減っている。弊害として、エンジニアの「開発力」「設計力」が低下している
  • 製品規模の大型化、開発部門の組織の細分化により、製品全体の把握が難しくなっている。製品の全容が分からず、コストがいくらかかっているのかもピンとこない。結果的に、「自分はここだけ担当している」「この組み込みの設計のみ行っている」というエンジニアばかりになり、ハードでもソフトでも、インタフェース(接続・結合)の段階になって問題が露呈する
  • 開発には関心を示すが、会社の事業/ビジネスに関心を持つエンジニアが少なく、「サラリーマン技術者」が増えている。要は、もらえるものさえもらえればよく、開発にいくらかかろうが気にしない

 皆さんの会社ではいかがだろうか。「うちも当てはまる」という人が、意外に多いかもしれない。

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