「今すぐ使えるFPGA」、アルテラが運転支援システムなどを提案:ET 2013
アルテラは、「今すぐ使えるFPGAソリューション」をテーマに、最新のアルテラSoCやFPGAおよび評価ボードを展示した。パートナー製品も含めて、安価な評価キットやOpenCLを用いて設計が可能なFPGAアクセラレータボード、アルテラSoCを活用した自動車の運転支援システムなどのデモ展示が来場者の注目を集めていた。
アルテラは、「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、「今すぐ使えるFPGAソリューション」をテーマに、最新のアルテラSoCやFPGA、および評価ボードなどを展示した。パートナー製品も含めて、安価な評価キットやOpenCLを用いて設計が可能なFPGAアクセラレータボード、アルテラSoCを活用した自動車の運転支援システムなどのデモ展示が来場者の注目を集めていた。
アルテラ販売代理店のアルティマは、アルテラ製「Cyclone V SoC」を実装した評価キット「Helio(ヘリオ)」のデモ展示を行った。この製品の特長は2万5800円という安さだ。アルテラ製の評価キットはあらゆる機能をサポートしているため、20万円近い価格となっているのに対して、HelioはCyclone V SoCの評価に必要な機能に絞り込むことで、一桁安い価格を実現した。「『取りあえず動作を確認してみたい』、『Linux上でアプリケーションソフトウェアを開発してみたい』といった顧客に適している。アルテラSoCをいろいろな用途に使ってもらうために、評価キットも安く設定した」(説明員)と話す。
Helioには、ARM Cortex-A9 MPCoreプロセッサを内蔵したCyclone V SoCやCPLD「MAX II」、1GバイトのDDR3 SDRAM、10/100/1000Mビット/秒のイーサネットやUSB2.0OTGといった外部インタフェースなどが実装されている。
フィックスターズがアルテラブースで展示したNallatech製FPGAアクセラレータボードは、アルテラから提供されるSDK for OpenCLを使って、FPGAベースの並列処理システムを比較的容易に開発することが可能になるという。同ボード上にはStratix Vや8GバイトのDDR3 SDRAMなどが実装されている。Cyclone V SoC搭載品もサポートする。
ブースでは主な画像処理フィルタを、x86CPU向けに実装したものと、FPGA向けに最適化したものを用意して、処理速度の比較を行った。「prewitt」や「sobel」、「gaussian」などのフィルタ処理を行ったところ、「FPGAの実行時間が、CPUによる処理に比べて最大で約32倍、平均で10倍も高速に処理できた」(説明員)という。
この他、車載用途向けにアルテラSoCやFPGAを使った事例も紹介した。1つは自動車の運転支援システム向けである。自動車の前方に設置された77GHzレーダーとHD CMOSカメラの情報を入力し、Cyclone V SoCでデータ処理して、ディスプレイに表示する。必要であれば警告音を発するシステムである。例えば、レーダーとカメラから得られた情報をもとに、前方の自動車や障害物などとの距離を計測し、ディスプレイに表示させることができる。運転中の自動車との距離が近ければ赤色、遠ければ緑色、その中間は黄色で表示させる。相対速度の情報も数値で表示させることができるという。
もう1つは、カーインフォテインメント向けのFPGA開発キット「Hydra(ハイドラ)」である。ルネサス製R-Car H2搭載LAGERボードに接続して、I/O機能や画像処理機能を拡張するためのボードである。Hydraに搭載されるFPGAや電源ICは車載対応の製品となっている。同ボードを車載バッテリーに直接接続すれば、エンジンを始動させて瞬時にモニターなどを動作させることが可能になるという。
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