もはや半導体業界だけのイベントではない――SEMICON Japan 2013:SEMICON Japan主催者に聞く(2/2 ページ)
2013年12月4〜6日、千葉市の幕張メッセで世界最大級の半導体製造装置・材料の総合展示会「SEMICON Japan 2013」(セミコン・ジャパン)が開催される。今回のテーマは、「The Power of “X”」であり、さまざまな分野に影響を与える技術/製品などにスポットを当てる。「半導体製造装置業界に直接かかわらない人でも、有益な価値ある情報を得られる場にしたい」というSEMICON Japan主催者に開催の狙い、見どころなどを聞いた。
より開かれたSEMICON Japanを実現する多彩な新企画
EETJ より幅広い客層の来場を集めるための新企画をお教えください。
中川氏 これまでデバイスメーカーが技術課題を事前に提示し、製造装置メーカーがその解決案を提案する形で実施してきた「サプライヤーサーチプログラム」で、新しい試みを予定している。
岩口氏 今回からは、従来の枠組みに加えて、製造装置メーカーが直面している技術課題を提示し、製造装置メーカーの川上に位置する部材メーカーからのソリューションを募る形式のプログラムを実施します。これまで、製造装置業界と接点がなかった企業でも、気軽に提案が行え、装置メーカーの購買担当などとの接点を構築できる場を提供できれば、と考えています。
中川氏 デバイスのユーザーであるセットメーカーなどのエンジニアや営業担当者など誰でも有益な情報を手軽に得られるような試みも積極的に行っている。
SEMICON Japanのセミナーは、質の高さから非常に良い評価を得て、ほぼ全てのセミナーを有料で実施してきた。ただ、いくら質が高いといえ、製造装置分野と間接的にかかわる人にとっては、有料であれば、しきいが高い。そこで、前回あたりからセミナーの無料開放を始めた。
岩口氏 今回は、合計37セッション(出展者セミナー、リリースプレゼンテーションなどは除く)の実施を予定していますが、うち7割を超える26セッションは無料セッションとなっています。無料セッションの数は昨年よりも増えています。
評価の高いセミナーを無料公開
EETJ 特に注目のセッションはありますか。
岩口氏 全てのセッションが、最新のテーマを取り上げており、どれも注目です。その中でも、例年、高い注目を集めるのが基調講演ですが、今回からは、「SuperTHEATER」と題して、会期中3日間にわたり、基調講演に相当するカンファレンスイベントを実施します。オープニングキーノートは「世界の半導体エグゼクティブが語る今、そして成長戦略」をテーマに産業技術総合研究所理事長の中鉢良治氏、グローバルファウンドリーズ Vice Presidentの Subramani Kengeri氏*)、Soitec COOのPaul Boudre氏が登壇されます。その後も、GSA(Global Semiconductor Alliance)フォーラム、400mmエグゼクティブフォーラム、3D-ICサミット、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)ブリーフィングセミナーといったテーマのSuperTHEATERを行います。最終日(12月6日)午後のSuperTHEATERは、「やさしい未来は半導体がつくる」と題したみらいビジョンフォーラムを実施する予定で、このセッションは特に幅広い方に有益な情報を提供できる内容かと思います。
*)掲載当初の講演者から変更されています。
新規出展者数は昨年からほぼ倍増!
EETJ 展示会場の方は、いかがでしょうか。
岩口氏 例年、展示される製品の約半分が、SEMICON Japanで初公開される新製品となっており、今回も新しい技術、製品に触れることのできる展示となる見込みです。主催者としても、より盛り上がりを演出できるようブース配置を改めるなどの工夫を行っています。
また今回、新規出展者数が例年以上に増えている点が特長です。新規出展者の数は、前回比95%増とほぼ2倍に増えています。その背景には、大田区パビリオンやベンチャー企業パビリオンといった近年強化してきたパビリオン展開が功を奏しているということがあります。新規企業の多くは、規模の大きい企業ではありません。ですが、優れた技術を持つ企業が多く、日頃はなかなか接点を持ちにくい企業でもありますので、SEMICON Japanでぜひ優良企業を発掘していただきたいと思っています。
海外で評価される「SEMICON Japan」
中川氏 SEMICON Japanの展示としては、あらゆる半導体/半導体製造技術の展示が集まるという点も特長だ。SEMICONは、アジア各国でも開催されているイベントだが、その性格は異なる。
例えば、台湾や韓国の場合、超巨大ともいえる半導体メーカー、ファウンドリーがあり、どうしてもそれら特定企業を意識した展示に偏る傾向がある。中国では、半導体の製造という意味では、まだまだこれからという市場であり、SEMICONでの展示もこれから成長する市場に向けた内容になっている。
一方で、日本の場合、(デバイスメーカーの)数が減ったといえど、メモリ、ロジック、アナログ/パワーと多くのジャンルで多数のデバイスメーカーが存在する。そのため、日本で開催するSEMICON Japanでは、多彩な技術/製品が一堂に会する。これほど、幅広い内容をカバーしたSEMICONは他にない。
実は、このSEMICON Japanの特長は、海外で評価されている。一時のピークに比べ、全体来場者数は減ったが、海外からの来場者数は減っていない。そして、アジアからの来場者に限ると増えている。他にない普遍的なSEMICONを求めて海外から多数の来場がある中で、ぜひ国内でもSEMICON Japanの良さをアピールして、来場者数増を図りたい。
学生向けの特別なイベントも併催
EETJ SEMICON Japanでは、3年前から展示会では珍しい学生向けの合同会社説明会(就職フォーラム)を併催されていますね。
岩口氏 過去2回は、200〜300人の就職活動を控える学生が参加されました。今回も、これまで以上に多くの学生の参加を募って、実施する予定です。今回の合同説明会は初めて、より業界の雰囲気に親しんでもらうために展示会場内で実施します。また、合同説明会では、展示ブースを見学するツアーも行います。このツアーは、半導体産業人協会(SSIS)の協力を得て実施するものです。SSISは、牧本次生理事長など世界の第一線で活躍された半導体業界では著名な方々が会員として所属されています。そのSSISの会員の方々が、率先してツアーの案内役を買って出ていただいています。そういう面でも、学生にとっては、とても貴重な経験ができる場になっています。
中川氏 SSISのように、皆さん、日本の半導体業界、強いてはエレクトロニクス業界を盛り上げようと努力されている。SEMICON Japanを通じて、日本の半導体、エレクトロニクス業界を元気付けたい。そのためにも、より多くの方に、有益で価値のある情報を提供することを最高のプライオリティとして、SEMICON Japan 2013を実施する。
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