6インチのSiCウエハー/エピウエハー、東レ・ダウが2014年6月までに出荷開始:ビジネスニュース 企業動向
東レ・ダウコーニングは、ケイ素関連技術をベースとした「LED照明関連材料」や「パワー半導体用材料」、「建築用途材料」などに注力している。特に、パワー半導体向けでは、6インチ(直径150mm)SiCウエハーおよびエピタキシャルウエハーの出荷を2014年6月までに始めることを明らかにした。
東レ・ダウコーニングは2013年11月27日、東京都内で会見を開き、LED照明に向けたシリコーン事業やパワー半導体向けSiC(シリコンカーバイド)ウエハー事業など、同社が注力するプロジェクトや、同社製品の強みなどについて説明した。この中で、2014年6月までに6インチ(直径150mm)SiCウエハーおよびエピタキシャルウエハーの出荷を始めることを明らかにした。
会見ではまず、会長兼CEO(最高経営責任者)を務める桜井恵理子氏が、会社の概要やケイ素関連技術をベースとした成長戦略などについて説明した。同社は「LED照明関連材料」や「パワー半導体用材料」、「建築用途材料」などに注力している。桜井氏は、「当社がターゲットとしている市場は、アベノミクス成長戦略と合致している」と話す。つまり、シリコンおよびシリコーン製品はアベノミクスが戦略的市場創造プランとして掲げる「クリーンなエネルギ需給」や「次世代インフラの構築」を実現するために重要となる素材である、と主張する。
続いて、同社のエレクトロニクスソリューションズでグローバルインダストリーディレクタを務める丸山和則氏が、LED照明に向けたシリコーン事業について説明した。LEDチップは一般照明向けに市場が拡大する。同時に、LEDチップの高輝度化が一段と進み、発熱量と光量が増大している。このため、「LEDチップのパッケージ材料にはこれまで以上に耐熱性や耐光性が求められている」(丸山氏)と話す。
こうした課題に対応して同社は、高屈折率でガスバリア性や機械物性を高めた「フェニル系シリコーン」と、一般グレードの「メチル系シリコーン」を封止剤として供給する。また、LED照明器具向け材料でも、高い成型性と耐熱性/耐光性を両立した光学成型用シリコーンや、優れた放熱性を実現したアセンブリ用シリコーンを提供している。
パワー半導体用材料として同社が注力しているのがSiCウエハーである。現在主流となっているSiウエハーに比べて、「電力変換時の電力損失が少ない」、「電界強度が高くダイサイズを小さくできる」、「バンドキャップが大きく高温動作が可能なため冷却システムを簡素化できる」、などの特長を持つ。エレクトロニクス営業部で主任部員を務める鍋島秀行氏は、「今後は産業用途や自動車用途を中心に、SiCウエハーを用いたパワー半導体の需要が拡大する見通しだ」と話す。
さらに、鍋島氏は同社の強みとして、「SiCウエハーに関する約20年の技術蓄積」、「SiCウエハーとエピタキシャルウエハーのラインアップ」、「大口径ウエハーの供給」などを挙げた。そして、「2014年6月までに6インチSiCウエハーおよびエピタキシャルウエハーの出荷を始める」ことを明らかにし、顧客のコストダウン要求にこたえていく予定である。結晶品質は4インチ(直径120mm)品と同等レベルに達しているという。
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