2014年のタブレット市場、アップルやサムスンは厳しい価格競争に直面:ビジネスニュース 市場予測
タブレット端末市場の成長は2014年も続くとみられている。アジア太平洋地域や南米では、低価格の製品が続々と投入される見込みで、アップルやサムスン電子は厳しい価格競争にさらされると予想される。
市場調査会社であるCanalysは2013年11月26日、「タブレット端末は、2014年のクライアントPC市場において、出荷台数の50%を占める」と予測する報告書を発行した。ここで述べるクライアントPCとは、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末などを指す。同社は、タブレットの出荷台数は、2014年は2億8500万台で、2017年には3億9600万台に達すると予想している。
Canalysは、同報告書の中で、「2014年は買収や合併が相次ぐと予想される。あらゆる規模のPCベンダーが、デスクトップPC/ノートブックPC事業を維持していくことに苦労しているからだ。ベンダー各社はタブレット市場に望みをかけているが、タブレット端末は大量に出荷しても利益が限られている」と述べている。
2013年第3四半期のクライアントPCの世界市場は成長し、同市場の約4割をタブレット端末が占めている。Appleは、タブレット端末の出荷台数で年間を通じて首位を確保し、デスクトップPC/ノートPC事業も安定している。一方、その他のメーカーの出荷状況は悪化の一途をたどっている。
しかし、Canalysでシニアアナリストを務めるTim Coulling氏は、報告書の中で、「Appleのビジネスモデルを考えると、PC市場でAppleのシェアが低下することは避けられない」と述べている。同氏は、「2013年第3四半期は、Samsung ElectronicsがEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域においてわずかながらリードしている。Appleは今後、さらに多くの市場でライバルにポジションを奪われる可能性がある。ただし、Appleは、タブレット端末の急成長によって利益を得た数少ない会社の1つだ。高品質な製品は、高価値を求める消費者をひきつける。Appleにとっては、高い利益を維持し、エコシステム全体で利益を上げ続けることが、市場シェアを維持することよりも重要だ」と解説している。
Canalysは、「Microsoftは2014年のタブレット端末市場で5%のシェアを獲得する」と予想している。同社の2012年のシェアは2%だった。Nokiaの携帯端末事業の買収によって、今後さらに市場シェアを伸ばすと予想される。
また、Canalysは、2014年第1四半期は、Androidを搭載した携帯端末が同市場をけん引するとみている。2014年通年のAndroid端末の出荷台数は1億8500万台に上り、市場全体の65%を占める見込みだという。Samsungは2013年第3四半期のAndroid端末の出荷台数のうち、27%を占めた。
アップルやサムスンは厳しい価格競争に直面か
だが、中国 上海のアナリストJames Wang氏は、Canalysの報告書の中で、「SamsungやAppleのような大手メーカーは、2014年に厳しい競争に直面するだろう。AcerやASUS、HP(Hewlett-Packard)、Lenovoなどのベンダーが価格競争に参入し、150米ドル以下のエントリレベルの製品を投入している。これらのベンダーは大手とはまったく違った価格構造を採っているため、特にアジア太平洋(APAC)地域や南米などの地域でこれらのベンダーと同価格を実現するのは非常に難しい」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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