2013年のプロセッサ市場は急成長、モバイル端末がけん引役に:ビジネスニュース 業界動向
PC市場の低迷が続く中、スマートフォンとタブレット端末の成長により、プロセッサ市場が堅調に伸びている。2013年通年の世界出荷量は、前年比24%増の15億米ドル規模に上るとみられている。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、2013年全体におけるプロセッサの世界出荷数量は、前年比24%増となる15億米ドル規模に達する見込みだという。
同社の最新リポートによれば、プロセッサ市場が急成長を遂げた背景には、スマートフォンやタブレット端末の売上高の堅調な増加がある。デスクトップPCの売上高が13%減少し、さらにノートPCが2%減少しているにもかかわらず、これを相殺してなお上回る成長を達成した。2013年のプロセッサ市場全体を見てみると、サーバ向けプロセッサ市場でさえ売上高を伸ばしているのに対し、PC向け市場は唯一、伸び悩みをみせている。サーバ向けプロセッサの出荷数量は、2012年第2四半期には460万個だったが、2013年第2四半期には480万個に増加している。
IHS iSuppliによると、急成長を遂げるモバイルプロセッサ市場は、プロセッサ市場全体の中で2桁台の成長を記録しているという。モバイルプロセッサの価格帯は、PC向けに比べて低いものの、2013年のプロセッサ市場全体としての売上高を押し上げ、市場全体としても1桁の成長率を達成する見込みだという。
同社のアナリストであるGerry Xu氏は、「ユーザーの間で、タブレット端末やスマートフォンによるPCの置き換えが進んでいる。このようなモバイルデバイスの人気の高まりを受け、プロセッサ市場の形勢は一変した。PC向けプロセッサの出荷数量は、今後も減少し、低迷状態が続くだろう。一方、モバイルプロセッサ市場は、スマートフォンやタブレット端末の売上高増加を受け、急激に拡大していくとみられる」と述べている。
IHS iSuppliは、プロセッサの製品カテゴリの中に、サーバ/PC向けマイクロプロセッサの他、ノートPCやタブレット端末、スマートフォンに向けたモバイルプロセッサなどを分類している。ただし、スタンドアロン型のアプリケーションプロセッサであるか、またはベースバンドプロセッサを搭載したSoCであるかどうかは区別していない。
Xu氏によれば、PC市場ではこれまで、理論速度が最重要視されてきたが、現在活況を呈するモバイルプロセッサ市場では、モバイルコンピューティング関連の機能が最も重要だとされている。同氏は、「PC市場では、演算能力の向上に重点が置かれてきたが、モバイルプロセッサ市場では、電力効率やユーザーエクスペリエンスなどの機能の向上が重視されている」と述べる。
Xu氏によると、アプリケーションプロセッサメーカー各社は現在、アーキテクチャ機能と価格の両面において競争を激化させているという。Allwinner TechnologyやRockchipなどの中国メーカーが、ホワイトボックスメーカーだけでなくHP(Hewlett-Packard)やLenovoといったメーカー各社に向けて、タブレット用プロセッサを供給しているためだ。
「アプリケーションプロセッサメーカー間の競争は、激化の一途をたどっている。メーカー各社は、実にさまざまな手法を採用することによって、競合他社との差異化を図ろうと取り組んでいる。例えばQualcommは、スマートフォン向けプロセッサ市場において、安定したユーザーエクスペリエンスを提供することにより、確固たる位置付けを得ている。また、Androidタブレット端末向けプロセッサの分野において、中国メーカー各社がリードを広げていることから、特にタブレット向けプロセッサ市場における価格競争が激しくなっている」(同氏)。
また2014年には、IntelやMediaTekが出荷数量を大幅に増加させて価格競争に参入する見込みであることから、さらなる競争の激化が予測される。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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