IoT時代の訪れとともに、存在感増すBluetooth:ビジネスニュース 業界動向
2013年12月5日に、Bluetooth 4.1の策定完了が発表された。IPv6専用のチャンネルが構築されるなど、モノのインターネット(IoT)への適用を見込んだ変更がいくつか加えられている。IoTの世界でBluetoothが果たす役割は、ますます重要になりそうだ。
Bluetooth SIG(Special Interest Group)は2013年12月5日、Bluetoothの最新仕様「Bluetooth 4.1」を発表した。ユーザーの利便性や開発者向けの機能が向上した他、新たな機器との接続も可能となるという。この他、インターネットプロトコルのサポートも強化された(関連記事:Bluetooth 4.1の策定が完了)。
さらなる成長が見込まれるBluetooth市場
Bluetooth Smartに対応した機器の出荷台数は、2013年の25億台から2014年には35億台に増加する見込みだ。Kroeter氏は、Bluetooth Smart市場が今後数年間でさらに成長を続けると期待している。米国の市場調査会社であるABI Researchは、2016年には年間10億台のBluetooth Smart対応機器が出荷され、その後も出荷台数は増えていくと予測している。
Bluetooth SIGでグローバルインダストリ&ブランドマーケティングのディレクタを務めるErrett Kroeter氏は、「Bluetooth 4.1は、Bluetoothの低消費電力通信規格である『Bluetooth Low Energy』を基に、モバイル機器でのデータ通信をより円滑に行えるように開発された。Bluetooth 4.1は、LTEとシームレスに接続できるので、モノのインターネット(IoT)を実現するための核となる技術だと確信している」と述べる。
さらに、Bluetooth 4.1では、省電力のBluetooth仕様「Bluetooth Smart」で大量のデータ転送が可能になるという。Kroeter氏は、「Bluetooth 4.1は、効率的にデータ伝送できるため、さまざまな用途に利用できる。情報を一定期間収集してから転送するといった使い方も可能だ。例えば、ランニング中の情報をフィットネスモニターに保存し、帰宅後にそのデータを転送することもできる」と説明している。データはスマートフォンやタブレット端末、その他のハブデバイスに転送できる。直接クラウドに転送して、共有することも可能だ。
Bluetooth 4.1の主な変更点は、機器を、周辺機器としてはもちろん、ハブとしても使用できるようになるところだ。Kroeter氏は、スマートウオッチを例に挙げた。「スマートウオッチは、スマートフォンと通信してテキストメッセージを更新する他、フィットネスモニターからのデータを受け取るなどハブとしての機能も果たす。Bluetooth 4.1に対応した機器も、このように周辺機器とハブの両方の役割を果たす」(同氏)。
Bluetooth 4.1では、IPv6通信向けの専用チャンネルも設けられる。
ただしKroeter氏は、「Bluetooth 4.1は例えるなら、レールの構築は完了したが、どのように電車を走らせて輸送するかは決まっていない状態」と説明している。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
関連キーワード
Bluetooth | 通信 | スマートフォン | 業界動向(エレクトロニクス) | IPv6 | LTE(Long Term Evolution) | ビジネスニュース(EE Times Japan)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Bluetoothの新用途が続々登場、2018年には対応機器が320億個に
低消費電力のBluetooth 4.0が正式に策定されてから、Bluetoothの用途は確実に広がった。2018年には、Bluetoothに対応した機器が320億個に到達すると予測されている。さらなる普及には、「モノのインターネット(IoT)」がカギになりそうだ。 - 「アプセサリー」向けBluetooth 4.0対応ネットワークプロセッサ
STマイクロエレクトロニクスは、Bluetooth 4.0 Low-Energyに対応したネットワークプロセッサ「BlueNRG」を発表した。スマホなどと連携するフィットネス用リストバンド、スマートグラス、ウェアラブルセンサーなど「アプセサリー」をターゲットにしている。 - 無線機能を機器に組み込む
WiMAX、ZigBee、LTEなど、無線通信の世界には、新たな規格が続々と登場している。その一方で、ワイヤレス機器では古い規格も比較的長く使われる傾向にある。そのため、複数の規格をサポートすることや、規格の変更に伴うアップグレードを容易に実現する実装手法が求められている。では、こうした要求に応えるために、実際にはどのような取り組みが行われているのだろうか。