連携進むスマホと車載システム、Androidアプリ対iOSアプリの戦いに:2014 CES(2/2 ページ)
2014年の自動車業界は、車載向けのAndroidアプリとiOSアプリの競争の場になるだろう。「2014 International CES」でも、Appleの車載ディスプレイ「iOS in the Car」に対抗する製品をGoogleが発表する予定だといわれている。
NVIDIAのオートモーティブ部門でディレクタを務めるDanny Shapiro氏は、EE Timesとのインタビューの中で、「自動車メーカーは、全てのスマートフォンとの連携を試したいだろうか。スマートフォンメーカーは、全ての自動車との連携を試したいと思っているだろうか」という問いを投げかけた。答えはおそらく「ノー」だろう。
新しいモバイルアプリの多くは、ドライバーにとって便利なサービスを提供する。Shapiro氏によると、例えば、スマートフォンの駐車場検索アプリは、カーナビゲーションシステムと連携することが可能だという。だが、ここでの課題は、運転中にディスプレイばかりを見るわけにもいかないということだ。
スマートフォンは、専用のクレードル(台)に置いたり、有線あるいは無線で車載ディスプレイに接続したりできる。だが、「スマートフォンのスクリーンを車載ディスプレイに映し出すのは安全とは言えないかもしれない」とShapiro氏は指摘する。「“視線は道路、手はハンドル”という原則の下では、ハンズフリーで、ディスプレイを見なくても必要な情報を素早く提供してくれるUIが必要だ」(Shapiro氏)。
同氏は、「スマートフォンのUIは、当然ながらユーザーの注意を100%引くように設計されている。これは自動車の車内では危険なシナリオだ。ドライバーとしては、ちらりとスクリーンに目を走らせただけで素早く決断できるようにしたいはずである」と続けた。
Appleは、iOS in the Carで、車載向けUIの定義を変えるという野望を持っている。「Appleは、マップと音声アシスタント機能『Siri』を統合し、クルマのセンターコンソールへの搭載を狙っている」とも伝えられた。
自動車メーカーは、次世代の運転技術として注目される先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)を、ハードウェアによって実現しようとしている。FreescaleのLoop氏は、「一方で自動車メーカーは、次世代の車載インフォテインメントシステムの実現にはソフトウェアが大きな役割を果たす、ということにも気付き始めている」と分析する。音声認識やジェスチャ認識、ナビゲーションシステムとの連携をより強化したもの、自動車とスマートフォンの統合を強化したものなど、さまざまな車載インフォテインメントシステムがあるが、いずれもソフトウェアが基盤となるからだ。
NXP Semiconductorsのシニアバイスプレジデントで、車載向け製品の世界販売およびマーケティングを統括するDrue Freeman氏は、「自動車メーカーは、アプリ開発のエキスパートではない。だが、各社が、ブランドの付加価値となるアプリやエコシステムを開発することは難しくはないだろう」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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