ボッシュがIoT時代に対応した小型/高性能の環境センサー:センシング技術
ボッシュは、あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」時代に向けて、MEMSセンサー事業を強化する。現在主力となっているスマートフォン向けモーションセンサーに加え、大気圧と温湿度のセンサーをワンパッケージに集積した統合型環境センサー「BME280」などを発表した。
ボッシュは2014年1月22日、MEMS技術を応用したセンサーの製品展開について記者説明会を行った。あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」時代に向けた製品展開を図る。現在主力となっているスマートフォン向けモーションセンサーに加え、大気圧と温湿度のセンサーをワンパッケージに集積した統合型環境センサー「BME280」と、マイクロコントローラを内蔵した9軸モーションセンサー「BNO055」を新たに発表した。
2013年出荷個数が10億個
ロバート・ボッシュの100%子会社であるボッシュセンサーテックは、加速度センサーやジャイロセンサーといったMEMS技術を応用したモーションセンサーの大手サプライヤで、スマートフォン向けを中心に事業規模を拡大してきた。同社はMEMSセンサーの累計出荷個数が2011年に20億個を超え、2013年は単年で出荷個数が10億個に達した、という。
パッケージサイズ「2.5×2.5mm」
これらスマートフォン向けの事業拡大に加えて、今後はMEMSセンサーの新たな応用市場の開拓にも力を入れていく。新しい応用市場をけん引する製品の1つが「BME280」である。これまで同社が供給してきた環境センサーは、大気圧と温度に対応していた。新製品は大気圧と温度に加えて、湿度のセンシング機能もワンパッケージに統合している。パッケージの外形寸法は2.5×2.5mmと極めて小さい。しかも、湿度検出のレスポンス時間は1秒、絶対気圧精度は±1hPaと、高い性能を維持することができた、という。BME280は、フィットネス機器やヘルスケア機器、エアコン機器などの用途に向ける。
一方、BNO055は9軸モーションセンサーとマイクロコントローラをワンパッケージに統合した製品である。サポートする機能によって、3タイプを用意した。スマートフォンやタブレット端末などに向けた「センサーハブ」はソフトウェアも同社が提供する。腕時計やゲーム機器、リモコン、歩数計など用途に最適化したのが「ASSN」(用途を特化したセンサーノード)である。「ジェネリックセンサーノード」は内蔵したマイクロコントローラのプログラムをユーザー側で開発することができる。
IoTへの展開加速を狙い新会社設立
同社は、MEMSセンサー製品における新たな用途拡大に向けて、モジュール/システムレベルのサポートも強化する。ボッシュセンサーテックのアジアパシフィックプレジデントを務めるLeopold Beer氏は、「ウェアラブル機器やリモコンなどのスマートスイッチに向けて、モーションセンサーや環境センサーなどの製品群を既に用意している。これらのセンサーにRF機能を組み込んだ『IoTタグ』を使うと、室内の空調環境やセキュリティに関する情報をインターネットで送ることができる。センサーとRF機能、マイクロコントローラ機能を一体化した『IoTノード』は、ホームオートメーション機器などに適用できる」と話す。
IoTへの展開を加速するための体制も整えている。その1つがMEMSセンサー製品をインターネット環境で利用するためのサービスを行う新会社「ボッシュコネクテッドデバイセズ&ソリューション」の設立である。さらに、室内にセンサーが組み込まれたスマートハウス向けソフトウェア基盤を構築するためのコンソーシアムをABBやCisco、LGなどと協力して結成するなど、MEMSセンサーの新たな用途開拓に向けた環境整備を着々と進めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ウェアラブル機器やIoTが生活を変え、5Gや微細化技術が世界を驚かす
2014年は、どんな技術革新が世界を驚かせるのだろうか? ウェアラブル機器、IoT、5Gなど「2014年に注目すべき10の技術」を紹介する。 - IoT対応デバイス、やがては指先に装着する時代へ
あらゆる機器が無線でつながるモノのインターネット(IoT)。米大学の教授らは、IoT対応機器を、いずれは指先に乗るくらいのサイズに小型化することを目指している。 - IoT時代に備える、簡単な無線接続をかなえる11の機器(前編)
モノのインターネット(IoT)の世界では、あらゆる機器を、いかに簡単に無線に接続するかが重要になる。無線ネットワークを容易に構築できるソリューションを提供できれば、小規模の新興企業にとって、大きなビジネスチャンスとなる可能性は高い。