Qualcommが5GHz帯を利用するLTE-Advanced技術を開発へ――Wi-Fiとの競合も:無線通信技術(2/2 ページ)
Qualcommは、5GHz帯を使用するLTE-Advancedに対応するための技術を開発したと発表した。免許不要の5GHz帯の使用は、Wi-Fiとの競合も予想される。
Wi-Fiとの共存は可能なのか
Gold氏は、「Qualcommはこれまでにも、実用化に至るかなり前の段階で発表を急ぐことがあった。ここで重要な問題となるのが、既存製品には、Qualcommが実現を目指す技術との互換性がないという点だ」と述べる。さらに同氏は、「Qualcommには、もう1つ直面すべき課題がある。それは、LTE-AdvancedをWi-Fiの“良き隣人”として、うまく共存させる必要があるという点だ。互いのプラットフォームからサービスを奪い合うようなことがあってはならない」と述べる。LTEの利用に関する規則は、米国や韓国、中国などでは比較的緩いようだが、その内容については世界各国でそれぞれ異なる。
Qualcommは現在、Wi-Fiとの「共存機能」の実現に向けて取り組んでいて、2014年2月24日〜27日にスペイン バルセロナで開催される携帯電話関連の国際展示会「MWC(Mobile World Congress)2014」においてデモを披露する予定だという。Hellberg氏は、こうした取り組みの詳細に関してはコメントを避けたが、一部の手法について概略を説明した。
- ダイナミックなチャネル選択機能:5GHz帯では、同じサブチャネルを使用しない。隣接チャネルが使われている場合は、伝送電力を調整することによって干渉を低減する。
- ダウンリンクの追加:免許不要帯域のみを使用することでダウンリンクが強化されている場合は、アップリンクではライセンスドバンドを使用する。こうすることでアップリンクの干渉を低減し、処理性能を高めることができる。
- LBT(Listen Before Talk)機能:特定の時間間隔で検出/切断を実行する機能を搭載する。
Hellberg氏は、「非常に厳格な規則が多いため、共存機能を実現するには波形を変える必要がある。当社は現在、すべての人々が確実に実行することができる手法を明確に定義すべく取り組んでいるところだ」と述べる。
これについてGold氏は、「果たして、Wi-Fi推進派も、“善良な市民”として同じような手法で対応することができるのだろうか」との疑問を呈している。
同氏は、「802.11acには周波数ホッピング機能がある。しかし、LTEに信号を取り上げられてしまうことで、あるマイクロ秒では利用できても次のマイクロ秒では利用できないとしたら、一体、どうなるだろうか。段階を踏んで対処すべきことが山積みだが、どうすれば効率的に対処できるのかは分からない」と述べている。
さらに、免許不要の周波数スペクトルにおける使用事例に関しても、長期にわたり意見の対立が生じている。免許不要の周波数帯域を利用するLTE-Advancedは、ユーザーエクスペリエンスや半導体チップの生産性を高めることができる。しかし、ノードに管理機能を追加すると、システムが複雑化したりコストが増大する可能性もある。
Hellberg氏は、「免許不要の帯域でLTE-Advancedの利用を実現するためには、こうした賛否両論の声に対処することも課題の1つとなっている」と述べる。
同氏は、「さらに、通信事業者の関心にも対応が必要だ。このような複雑な問題を解決するには、ほとんど不可能に近いながらも無線分野における変化を先読みすることで、LTE-Advancedを新たな分野として確立し、1000倍に増大するデータトラフィックの問題に対応するためのサポートを提供していく必要がある」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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