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中国国産OS「COS」、マイクロソフトとグーグルに打撃かオピニオン(2/2 ページ)

専門家によると、中国が開発した独自のOS「China Operating System(COS)」は、中国市場においてグーグルとマイクロソフトに多大な影響を及ぼす可能性があるという。一方で、アップルにはそれほど影響しないとみている。

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COS開発は、国家安全戦略の一環

 中国新華社の報道によると、中国がCOSの開発を進めた背景には、米国による情報収集活動が明らかになったことや、Microsoftの「Windows XP」のサポートが終了することなどがあった。そのため、国家安全戦略の一環としての取り組みだったという。COSはHTML 5やJavaにも対応している他、10万を超えるアプリケーションと互換性を備えているとしている。

 McGregor氏は、「新しいOS上でアプリケーションを作成するには、克服しなければならない大きな課題があるはずだ。このため、COSは一から開発されたのではなく、LinuxやAndroidなどの修正版ではないかとする見方が強い」と述べている。

 中国の国営紙である環球時報(Global Times)は、「COSの公式アプリケーションストアは、1つしかない。すべてのアプリケーションの安全性を検証し、海賊版でないことを確認することにより、Androidアプリに比べて高いセキュリティ性を実現する」と報じている。

 中国は、国内のコンピュータインフラ開発を管理するための長期計画の一環として、COSのセキュリティの高さを強調している。Bismuth氏は、「中国政府は、国内でAndroid端末が広く普及していることや、アプリ開発が爆発的に増大していることなどを警戒している」と指摘する。

 また同氏は、「中国政府は、インフラを確保するとともに、北米に対するソフトウェア関連の依存度を低減するためには、独自開発OSが必要だと判断した。中国国内で最も広く普及しているOSは、iOSとAndroid/Linux、Windowsだ。中国はこの中で、国際的に幅広くサポートされているLinuxが最も適していると判断したようだ。一方Androidは、Googleが開発したOSであるため、中国としては避けたかったのだろう」と述べている。

COSは、軍事用途でも

 Bismuth氏の予測によると、COSは、一般消費者向けの他、軍事用途でも使われる見込みだ。これは、米国政府が中国国内の暗号化データを読み取っているのではないかという、中国政府の懸念を表わしているのだろう。「中国は、ぜい弱なRSA暗号化に依存するソフトウェアインフラは避けたいが、そうかといって、強力な暗号化技術を東アジアに投入する西欧企業はない、と考えている」(Bismuth氏)。

 今後COSが勢いを増していけば、既存のモバイル機器向けOS市場における均衡を揺るがすことになるかもしれない。特にGoogleは、Android端末からの広告収入に大きく依存する傾向にあるため、受ける影響も大きくなるだろう。また、アジア各国のメーカーが、COS導入に対して政府からの補助金を受けられるようになるとすれば、新たなエコシステムを構築できる可能性もある。

 McGregor氏は、「中国政府は今後、さまざまな規制やサポートを組み合わせることにより、外国企業に対して中国国内での事業展開を困難にさせることもできる。中国が独自の技術ソリューションや規格を確立すれば、外国企業が中国で競争することは実質的に不可能になるだろう」と指摘する。

 一方のBismuth氏は、比較的高価な端末を販売するAppleは、COSの影響をそれほど受けないとみている。「影響が大きいのは、MicrosoftとGoogleだろう」(同氏)。さらに同氏は、中国政府が積極的に投資しているアフリカでも、COSの採用が進むとみている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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