ルネサスが40nmプロセス採用パワートレイン向けマイコンを6月からサンプル出荷へ:プロセッサ/マイコン
ルネサス エレクトロニクスは、パワートレイン制御向けマイコンとして、「業界で初めて40nmプロセスを採用した」という32ビットマイコン「RH850/E1xシリーズ」(2種)を開発したと発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2014年3月24日、自動車のエンジン制御やトランスミッションなどのパワートレイン制御向けマイコンとして、「業界で初めて40nmプロセスを採用した」という32ビットマイコン「RH850/E1xシリーズ」(2種)を開発したと発表した。2014年6月からサンプル出荷を開始し、2016年3月からの量産を予定している。サンプル価格は専用の電源管理ICと合わせて1万800円となっている。
4Mバイトのフラッシュ
新製品2種は、マイコンとしては最も微細製造プロセスとなる40nmプロセスを採用。RH850/E1M-Sは、4Mバイトの大容量フラッシュメモリの内蔵により、エンジンやトランスミッションをきめ細かく高精度に制御するために大規模化しているプログラムの格納ができる。データ格納用途向けにEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)とほぼ同等機能のフラッシュメモリを64Kバイト内蔵している。この大容量フラッシュメモリを使用することで、データ格納用の外付けメモリが不要となるためシステムの低コスト化を図れる。
40nmプロセスの採用により、メインCPUはハイエンドパワートレイン制御向けに高温環境下(Tj=150℃)で「世界最高速」(ルネサス)という動作周波数320MHzを実現した。メインCPUに加え周辺制御用CPUを搭載し、マルチコア化することで、スケーラブルなCPU構成となった。さらに、メインCPUには自動車用機能安全(ISO26262)対応を考慮し、ロックステップ方式を採用している。
燃費向上や排ガス対策に直接関係するパワートレイン制御は、きめ細かな制御が求められている。これらのニーズに対応するためマイコン新製品には、エンジンやトランスミッション制御に有用な多機能タイマユニットATU-IV(Advanced Timer Unit-IV)や高速12ビットA/D変換器などを搭載し、さまざまな運転状況に応じたエンジン制御が可能となる。
実績あるエンジン制御用タイマATU-III(Advanced Timer Unit-III)をさらに進化させたATU-IVを搭載。従来ソフトウェアとの互換性を保ちつつ、高精度かつきめ細かなエンジン制御を実現できる。新たにハードウェアシーケンサ付きパルス出力用タイマAPAの搭載により、CPU処理負荷を低減しつつ、ΔΣ型A-Dコンバータと連携して電流フィードバック制御などを実現できる。
ルネサスは、新製品2種専用の電源管理IC「RAA270000KFT」も合わせて製品化し、新製品と合わせてサンプル出荷をスタートさせる方針。
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