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スパンション、2015年に40nm世代マイコン投入へ――マイコン事業強化方針を説明ビジネスニュース 企業動向

スパンションは2013年11月18日、都内で会見を開き、2013年8月に富士通から買収したマイコン/アナログ事業に関する事業方針の説明を行い、2015年に40nmプロセスを用いたフラッシュメモリ内蔵マイコンを投入する計画などを明かした。

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 スパンションは2013年11月18日、都内で会見を開き、2013年8月に富士通から買収したマイコン/アナログ事業に関する事業方針などを説明した。マイクロコントローラ&アナログビジネスグループ担当シニアバイスプレジデントで、マイコン/アナログ事業における日本法人(スパンション・イノベイツ)の社長を兼務する後藤信氏は、「スパンションに事業が移り、これまで描けなかった40nmプロセス/28nmプロセス世代マイコンの開発ロードマップが描けるようになるなど、(富士通から移籍した)従業員のモチベーションはアップしている」と、スパンションによるマイコン/アナログ事業買収の効果を語った。


マイクロコントローラ&アナログビジネスグループ担当シニアバイスプレジデントの後藤信氏

 スパンションは2013年8月のマイコン/アナログ事業の買収と同時に、旧富士通マイコン/アナログ事業部門で構成する日本法人スパンション・イノベイツを設立するなど、旧富士通の体制を踏襲し、事業を展開する。富士通から移籍した約1180人を対象にしたリストラなども「実施しない」(後藤氏)と明言し、「逆に、スパンションのメモリ部門や海外販売部門のリソースをマイコン/アナログ事業に取り込むことでリソースは増える方向にあるだろう」とする。製品開発方針に関しても「(富士通時代と)全く変更はない」と言い切る。この日、発表したマイコン製品「FMファミリ」の新製品「FM0+」やこのほど量産を開始した「FM4」なども「これまで開発してきた製品であり、スケジュール通り投入できた」とする。

28nmプロセス品のロードマップも


マイクロコントローラ&アナログビジネスのバイスプレジデント兼事業本部長を務める布施武司氏

 従来と変わらぬ体制、従業員、開発方針を貫くが、唯一の変化は、スパンションの得意としてきたメモリ事業との融合を推進していく点にある。スパンションが持つ独自フラッシュメモリ技術「40nmプロセス世代チャージトラップNOR」をマイコンに導入する方針。マイクロコントローラ&アナログビジネスのバイスプレジデント兼事業本部長を務める布施武司氏は「チャージトラップNORを用いた40nmプロセス世代マイコンは2015年に投入する予定。具体的な投入時期は明かせないが、28nmプロセス世代品に関するロードマップも社内では用意している」とした。

 現在、マイコンの製造は、富士通に委託する形で実施しているが、富士通の半導体工場は55nmプロセス世代までの対応であり、40nmプロセス以降の微細プロセス製造は今のところ不可能だ。布施氏は、「既に40nmプロセス世代品の製造委託先については、検討を進めており、恐らく富士通ではないファウンドリに委託することになるだろう」との見通しを示した。

 マイコン/アナログ事業とメモリ事業の融合では、両事業で共通する民生機器、自動車、産業機器という主力3分野で、製品を複合化させたソリューション提案を加速させる方針。その1例として、IoT(モノのインターネット)分野への注力を明言し、低消費電力マイコンやエナジーハーベスト向け超高効率DC―DCコンバータIC、フラッシュメモリを組み合わせたIoT向けソリューションを用意、提案していく姿勢を打ち出した。


スパンションのIoT分野に向けた取り組みのイメージ (クリックで拡大) 出典:スパンション

富士通から変わらぬ姿勢とスパンションとしての「+α」

 その他、「豊かなグラフィック」「先進的なヒューマンマシンインタフェース」「高精度な自動制御」といった市場ニーズに対応するマイコン/アナログ/メモリ製品を中心に、民生機器、自動車、産業機器向け製品、ソリューションの拡充を図っていく方針。後藤氏は、「マイコン/アナログ事業は今後、海外拠点のリソース拡充やメモリ事業との融合なども進めるが、日本をベースにした研究開発を継続し、過去からの蓄積を生かした商品提供を行っていく」と語った。

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