IBMの歴史:フォトギャラリー 技術革新にみる(4/4 ページ)
チーズスライサーや計算機を扱っていたIBMは、コンピュータ/PC市場に参入し、「帝国」と呼ばれるまでに成長した。今でこそ大規模な人員削減を行っている同社だが、コンピュータ業界における軌跡は、“帝国”と呼ばれるにふさわしい。
1980年代
1982年には、産業用ロボットシステム「IBM 7565」「IBM 7535」を発表した。この時IBMは、AML(A Manufacturing Language)を開発している。IBMは「AMLは、ロボット制御向け言語としては最先端である」と自負していた。1983年には、「System/36」をリリースした。カラーディスプレイを備えたもので、ミッドレンジコンピュータとして広く普及した。
1984年当時のIBMの規模:従業員数39万4930人、売上高459億4000万米ドル、純利益54億8000万米ドル
1990年代
1990年代、IBMは多くのコンピュータを生み出した。例えば「IBM Enterprise System/9000」「IBM RISC System/6000」「ThinkPad 701c」などである。
1994年当時のIBMの規模:従業員数21万9839人、売上高640億5000万米ドル、純利益30億2000万米ドル
2000年代
2000年、IBMはデスクトップPC「NetVista」ファミリを発表した。一体型PC「NetVista All-in-One」、縦型PC「NetVista Legacy-Free」、インターネットアクセス端末「NetVista Internet Appliance」、シンクライアントの「NetVista Zero-Footprint Thin Client」で構成された。2004年、IBMは3248件の特許を取得し、12年連続で世界最多となった。
2004年当時のIBMの規模:従業員数32万9000人、売上高965億米ドル、純利益84億米ドル
2010年代
IBMは2010年、ソフトウェア市場により注力した。ビジネス分析ツール「Cognos 10」、データベース「DB2 10」、情報統合基盤「IBM InfoSphere Server」などだ。
IBMは、2006年から毎年、技術革新の予測として「Next Five in Five」を発表している。「今後5年間で人々の生活を一変させる5つの技術革新」という意味だ。
2010年のNext Five in Fiveは、
- 友人との通信が3Dに
- 空気を利用して携帯機器に電力を供給するバッテリ
- 誰もが地球を救う科学者に
- 自分に適したマイルート
- コンピュータを都市生活のエネルギー源に
だった。これらの5項目は、まだ実現されていないものがほとんどだが、業界のトレンドに近いものであることは明らかだろう。
2010年:従業員数42万6751人、売上高998億7000万米ドル、純利益148億3000万米ドル
【翻訳:青山麻由子、EE Times Japan、編集:EE Times Japan】
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