半導体業界は統廃合が進む、マイクロチップのCEOが言及:ビジネスニュース
Microchip TechnologyのCEOであるSteve Sanghi氏は、「半導体業界の成長は鈍化しており、今後は半導体メーカーの統廃合が進む」と主張した。Microchipの戦略については「マイコンにARMコアを採用することはない」とし、8ビットマイコンのサポートにも注力していくという。
Microchip TechnologyのCEOであるSteve Sanghi氏は、2014年3月31日から4月3日まで米国カリフォルニア州サンノゼで開催された技術関連カンファレンスおよび展示会「EE Live! 2014」におけるインタビューの中で、「半導体業界のビジネスモデルは崩壊し始めており、経営の引き締めと統合が今後さらに進む」という率直な見解を述べた。
Sanghi氏は1990年からMicrochipを率いて、収益を伸ばしてきた。同氏は「半導体業界は成長が鈍化している。当社の収益は伸びているが、最終的には横ばい状態が続くことになるかもしれない」と述べている。
半導体業界は既に成熟期に入り、年間成長率は1桁台半ばに落ち着いているとSanghi氏は分析する。「こうした変化は、チップ価格が毎年8%下がる時代や、半導体メーカーの従業員の給与が5%上がる時代の終わりを意味している」(同氏)。
Sanghi氏は、EE Timesに対し、プロセス技術の発展を見込んで積極的な価格設定ができた時代は過ぎた、と話した。同氏は「半導体業界は慣習を変える必要がある」と述べている。
今後は、半導体の価格は横ばい、あるいは上昇するだろう。さらに、半導体メーカー同士の統合や合併が続くだろう。
Sanghi氏によると、合併は半導体業界の成熟を示しているという。半導体企業は規模を大きくすることで、厳しい時代を乗り切ろうとしている。
Sanghi氏は、「Texas InstrumentsによるNational Semiconductorの買収や、Avago TechnologiesによるLSIの買収などは、3年前には予想もしなかっただろう。また、Spansionが富士通セミコンダクターのマイコン・アナログ半導体事業を買収するなど、誰が予測できただろうか」と述べる。しかしSanghi氏は、「統合や合併は生き残りを保証しない」と主張する。
「例えばマイコンはコードベースがことなるので、製品群の統廃合が難しい。各アーキテクチャ向けに、単独のツールチェーンやリファレンス設計、アプリケーションノートなどを提供しなくてはならない。ルネサス エレクトロニクスを見れば、その難しさが分かるだろう」(Sanghi氏)。
8ビットマイコンで攻める
Microchipの今後の戦略についてSanghi氏は、「ARMベースのマイコンを作るつもりはない」と断言している。「MIPS M4Kコアを採用した当社の32ビットマイコンは、3.28CoreMark/MHzを実現し、ルネサスのマイコンやARMベースのマイコンを抜いてトップの性能を達成した」(同氏)。
Sanghi氏によれば、Microchipは8ビットマイコンのサポートに力を入れているという。一般的には縮小するとされる市場だ。同氏は「当社の8ビットマイコンの売り上げは好調だ。8ビットマイコンは今後10年間は需要があるだろう。“8ビットマイコンは消える”という声は20年前からあるが、個人的にはそうは思わない」と続けた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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