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Amazonスマートフォン発売の“真の狙い”について議論もその実体は消費行動の追跡?

米Wall Street Journalは、Amazonがスマートフォン市場に参入すると報じた。ユーザーの消費行動をより詳しく分析できるようになれば、Amazonにとっては大きなメリットとなる。一方で実店舗との価格競争に関する懸念の声も上がっている。

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 Wall Street Journal(WSJ)は2014年4月11日、ネット通販大手Amazonが2014年6月に同社製のスマートフォンを発売する見通しだと報じた。スマートフォンは多彩な製品が出そろい、市場は飽和状態になりつつある。そうした市場に参入するAmazonの“真の狙い”について、議論が巻き起こっている。

 WSJの記事によると、Amazonのスマートフォンは、前面に搭載した4つのカメラ/センサーでユーザーの視線を追跡し、拡張現実(AR)や裸眼3D視聴体験を実現するという。WSJは、Amazonは数週間前から米国シアトルとサンフランシスコの開発者にスマートフォンを披露していると報じている。

 同スマートフォンは、前面に配置したセンサーでユーザーの頭部の位置を検出し、その位置に合わせて、専用の眼鏡が不要なオートステレオスコピック(複合視差知覚)ディスプレイに3D映像を表示すると考えられる。背面のカメラで現実世界を3D撮影するとARが作動し、ユーザーが見ている製品に関連のある情報を画面に映し出すといった機能も搭載されると予想されている。

 現実世界で特定された製品は、Amazonのオンラインデータベース内で検索され、他社より安い価格でユーザーに紹介されるかもしれない。Bluetooth SMART対応ビーコンを設置する小売店からユーザーのスマートフォンに送信された情報をAmazonが利用し、価格を微調整して商品情報を提案するといったことも考えられる。

 スマートフォン市場は現在、一部のメーカーに独占されている。いずれのメーカーも、ユーザーの消費行動を詳細に調べ、消費行動を誘導する目的に、スマートフォンを利用している。GoogleはAndroid OSを活用して、「Nexus」シリーズを含むほとんどのAndroidスマートフォンに、そのユーザーの趣味趣向に適した個別広告を配信している。

 台湾の携帯電話機メーカーであるHTC(High Tech Computer)は、Facebookとコラボレーションして開発したスマートフォン「HTC First」を発表した。FacebookのAndroidアプリである「Facebook Home」を搭載したもので、ターゲット広告が配信される。画像/動画共有アプリ「Instagram」もプレインストールされており、Facebookの操作性と統合通知機能に特化したスマートフォンとなっている。

消費活動の追跡ツールに?

 これと同様に、Amazonのスマートフォンも魅力的な価格帯で提供されれば、同社にとって都合のよい、消費活動の追跡ツールとして利用される可能性が高い。Amazonは、オンラインストアだけでなく、実店舗との競争においても優位に立つこと目指している。同社のスマートフォンにはAmazonのアプリケーションがフルインストールされていて、AmazonのWebサイトにすぐにアクセスできるようになっていると予想される。

 スマートフォンを介してユーザーの消費活動のデータを収集、分析できれば、たとえ端末そのもので利益を出せなくても、それを補って余りある価値をAmazonは手にするはずだ。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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